
ながれぼし
第1章 きみのそばで
智くんは、ふぅ。と気持ちを落ち着かせるかのように空気を吐いた。
瞳は水分を含んでゆらゆらと揺れている。
大「…俺さ…」
「うん。」
大「翔くんに、感謝してるんだ。」
「うん。…っへ?感謝?」
思いがけないフレーズに変な声が出てしまった。
大「…いきなり何だって話だよね。ごめん…。」
そう言って眉毛を下げる。
「あ、いや…」
大「なんか俺、ほんと話するの駄目でさ…」
智くんの言う“話”っていうのは、自分の事なんだろう。
「うん。」
背中を擦っていた手はそのままで、智くんへ少しだけ体を向けた。
そんな俺に貴方は少し笑って
大「俺さ、翔くんに会えて良かった。」
そしてゆっくりと話し出した智くん。
大「あの日、翔くんが俺に声をかけてきてくれて嬉しかった。翔くんが…俺のこと、気遣ってくれたのが…嬉しかった。」
気遣い?
大「俺ね、翔くんと居ると楽しいんだ。」
智くんは、何かを思い出したかのように笑う。
でも、すぐにその顔に影が落とされ…
大「苦手でさ、…人と関わるの。人が嫌な訳じゃ無いんだけどさ…なんか駄目で。」
初めて、智くんから聞く智くんの話。
大「前はこんなじゃなかったんだけどなぁ。
なんか、だんだんね…。」
今度は、何かを思い出してしまったかのように笑う。
少しして、ゆっくりと上げた瞳が俺を見る。
大「だから…こんな俺に、飽きずに声をかけてきてくれた翔くんには、本当に感謝してるんだ。」
その瞳にはもう涙は無くて
大「翔くん、ありがとう。
俺、翔くんが大すきだよ。」
そして、そんなことを言って微笑んだ。
その表情は…今日何処かで見た顔に似てて…
てか
すき…?
え?…すき?
え?!
「すき?!」
大「うん。翔くん 大すき。
俺、翔くんと友達になれて本当に良かった。」
今度はへにゃんと笑った。
…とも…
…あ、あぁ…そう言うことね!
友達としてね!だよね!ですよね!
何勘違いしてんだ!俺!馬鹿か?
