ながれぼし
第8章 in the water
こんな暑い中にも関わらず、ほんわか。と櫻井先輩に笑いかける大野くん。
櫻井先輩も、そんな彼に爽やかに笑顔を返す。
ニ「……。」
ぴりぴり。とニノの嫉妬メーターが上がっている。
雅紀を挟んでる距離にいる俺でさえ感じるのに…
櫻井先輩は、大野くんと楽しそうに話をしている。
櫻井先輩は…鈍い。激ニブだ。
勉強とか運動に関しての勘は長けているだろうに…恋愛となると…これだ。
あの後、2人と別れてパン買って教室に帰ってきた俺達。
ニ「……。」
あれから終始無言のニノ。
ニノはヤキモチ妬き。
途中から、ニノが むすっとしちゃったのが気になって、だから大野くんとは話せな……いや違う、そうじゃない………
相「松潤ー、食べないの?」
「え?あ…いや…あ、だってニノが…」
気づけば、既に2個目のパンを食べている雅紀。
「ニノ?…あーいつもの事じゃん。昼休み、終わっちゃうよ?」
そう。これはいつもの事なんだけどね。
ニノと櫻井先輩。
先に好きになったのはニノ。
人と丁度良く距離をとる事や、すっ。と懐に入る事が自然とでき、そしてそれを得意とするニノにとって、初めて調子を狂わされた人。
それが櫻井翔先輩。
冷たいとか、素っ気ないとかそういんじゃなくて、櫻井先輩は誰に対しても同じ。キレーに同じ。まじでフラット。平行線。
部長とさ、マネージャーって結構一緒にいる時間長くなったりするんだけど、いっくらニノがアピールしようとも、気がつかない。
ニノとしては、櫻井先輩に好きになってもらって、櫻井先輩から告白して欲しいって思いがあったみたいたけど…願い叶わずニノから。
で、やっと先輩はニノの気持ちに気が付いたって訳。
まぁ…そっからも付き合うまでが…
んで、付き合ってからもこうやってニノはやきもきしてる。
ニノも素直に言えば良いのに。櫻井先輩は言わなきゃわかんない人じゃん…
ニ「潤。」
きた。
「なに?」
ニ「付き合って。次、自習だったよね。」
そう言って俺の返事は特に聞かず、ニノは鞄の中をゴソゴソと漁り、目的の物を取り出すと立ち上がる。
今日は俺かぁ…
やっぱパン食べとけば良かった。
「りょーかい。」
俺は、手に持ったままだったパンの袋をしまい、ニノの後に続いて立ち上がる。
雅紀と目が合うと、小声で「御愁傷様。」と言われた。