テキストサイズ

ながれぼし

第8章 in the water



**

ざわざわ。

ざわざわ。と笑い声や足音が響く。

俺達の教室だ。


大「ここは…この公式?」

二「そう、この公式使って…」

大「……こう…?あ、解けた。」

二「うん。正解。」

大「やった!」

ニ「大野くんって、もともと勉強できたんじゃない?ざっとみても基本が出来てるから…うん。頑張れば…なんとか赤点は免れそうかも。」

だよね。俺も英語みて思った。
大野くんは、頭が良い。


相「松潤。ここってこうでいいんだっけ?」

「ん?そうそう。もうバッチリじゃん。」

相「マジ?!俺、やればできる子だ!」

「ふふ。だから言ったじゃん。」

昨日から勉強モードに切り替わった雅紀。
もう大丈夫だ。

俺も負けてらんねーな。
と、テキストに視線を落とした。




昨日、大野くんが言ってきたお願い事は

『勉強を教えて欲しい。』

だった。

他でもない大野くんのお願い。
そりゃ…近くに居ることでドキドキするし、不安が無いって言ったら嘘になる。けど、それよりも俺は大野くんの力になりたくて「俺でよければ」と返した。

話を聞けば
高1の後半頃から学校を休んでいた大野くん。
その遅れはやっぱり今からじゃ大きくて、俺だけじゃ…とニノや雅紀にも協力してもらって良いかと言う俺に、大野くんは「うん。」と笑顔を見せた。


そして、大野くんは俺に…

相「あれ?また解んなくなった!松本潤~!」

「なんでフルネーム?(笑)
どこよ?…あぁ。雅紀、この手の問題苦手だよね。」

相「似たようなの多いんだもん!」

「確かにな。これは~…」

あれ…?何話してたっけ?
…ま、いっか。で、毎日バイトが入っている大野くん。
今週末から始まる試験までとなると、自習と休み時間しかないなって事で、ね。
今はニノに数学をみてもらってるって訳。

相「保健体育なら俺!」

と…言ってもだ。正直、今からじゃ全科目をクリアするのは難しいと思う。でも、数科目でも赤点を減らせるならって大野くんは頑張ってるんだ。



**


ピンポーン♪

テキストを置いて、俺はソファから立ち上がる。


玄関を開ければ
大「こんばんは。遅くにごめんね。」

そこには申し訳なさそうな顔をした制服姿の大野くん。

「ううん。バイトお疲れ。どうぞ。」
俺は、彼を家の中へ招き入れる。



家勉をするためだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ