
ながれぼし
第8章 in the water
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ざわざわ。
ざわざわ。と笑い声や足音が響く。
俺達の教室だ。
大「ここは…この公式?」
二「そう、この公式使って…」
大「……こう…?あ、解けた。」
二「うん。正解。」
大「やった!」
ニ「大野くんって、もともと勉強できたんじゃない?ざっとみても基本が出来てるから…うん。頑張れば…なんとか赤点は免れそうかも。」
だよね。俺も英語みて思った。
大野くんは、頭が良い。
相「松潤。ここってこうでいいんだっけ?」
「ん?そうそう。もうバッチリじゃん。」
相「マジ?!俺、やればできる子だ!」
「ふふ。だから言ったじゃん。」
昨日から勉強モードに切り替わった雅紀。
もう大丈夫だ。
俺も負けてらんねーな。
と、テキストに視線を落とした。
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昨日、大野くんが言ってきたお願い事は
『勉強を教えて欲しい。』
だった。
他でもない大野くんのお願い。
そりゃ…近くに居ることでドキドキするし、不安が無いって言ったら嘘になる。けど、それよりも俺は大野くんの力になりたくて「俺でよければ」と返した。
話を聞けば
高1の後半頃から学校を休んでいた大野くん。
その遅れはやっぱり今からじゃ大きくて、俺だけじゃ…とニノや雅紀にも協力してもらって良いかと言う俺に、大野くんは「うん。」と笑顔を見せた。
そして、大野くんは俺に…
相「あれ?また解んなくなった!松本潤~!」
「なんでフルネーム?(笑)
どこよ?…あぁ。雅紀、この手の問題苦手だよね。」
相「似たようなの多いんだもん!」
「確かにな。これは~…」
あれ…?何話してたっけ?
…ま、いっか。で、毎日バイトが入っている大野くん。
今週末から始まる試験までとなると、自習と休み時間しかないなって事で、ね。
今はニノに数学をみてもらってるって訳。
相「保健体育なら俺!」
と…言ってもだ。正直、今からじゃ全科目をクリアするのは難しいと思う。でも、数科目でも赤点を減らせるならって大野くんは頑張ってるんだ。
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ピンポーン♪
テキストを置いて、俺はソファから立ち上がる。
玄関を開ければ
大「こんばんは。遅くにごめんね。」
そこには申し訳なさそうな顔をした制服姿の大野くん。
「ううん。バイトお疲れ。どうぞ。」
俺は、彼を家の中へ招き入れる。
家勉をするためだ。
