
ながれぼし
第8章 in the water
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ニ「んで?なーんで、潤はそんな仏頂面してんのよ。」
…別に
「普通だし。」
相「イケメン台無し、ブー垂れ顔だね(笑)」
あひゃひゃ♪と俺の顔を見ては笑う雅紀。
そして、呆れ顔のニノ。
チャプン チャプン。と
さっきまでの余韻を残すプールは目の前。
そ。今は休憩中。
ニ「せーっかく、はれておおちゃんが水泳部に入部したのに?」
相「んで、入部して初出の記念すべき日なのに?」
ニ「なーにが不満なんですかねぇ?この子は。」
ねー?と、俺を挟んで言い合う2人。
「…」
そんな2人を横目でスルーしつつ
俺は、反対のプールサイドを凝視する。
そこには
う〜ん。と腕を上げストレッチをする大野くん。
と、それに付き合う櫻井先輩。
.
あの日から数日。
物事は、あれよあれよと進んだ。
今、こうしてこの場に大野くんが居るのも
その、あれよあれよと物事が進んだお陰だからなんだけど…
でも、だから…だからこそさ……
「…俺、結局何も大野くんの力になれてない。」
ぷー。と膨らんだ風船の空気を少しずつ外へ出すように言えば
ニ「はぁ?何?まーだそんなこと言ってんの?」
やっぱり、溜め息と呆れた声が返ってきた。
…
……そりゃぁ、何回も言っちゃってるかもだけどさ
『力になりたい。』
そう言ったけれど、子供の俺に出来ることなんて結局なんもなくて、家族である松岡さん、学校の先生…
そう。やっぱり大人の力がなくては、大野くんが今、この場に居ることは叶わなかったんだ。
相「あ。んふふ、おおちゃん嬉しそう。」
雅紀の声に、下がっていた視線を上げれば
チャプン。と今はプールに入っている大野くん。
その顔は、とても気持ちよさそうで
相「ねぇ松潤。」
「ん」
相「俺ね。友達には笑ってて欲しいなって。」
「ぇ?」
相「俺の頭じゃ難しいことはわかんないし、なーんとなくしか松潤気持ちわかんないけど、
そんな背伸びしなくて良いんじゃない?
だって、松潤には松潤にしか出来ないこと、いっぱいあるんだよ。」
「まさ…」
ニ「お、たまには良いこと言うじゃん。」
相「えー?何たまにってぇ〜」
岡田「二宮ー。ちょっといいか?」
二「あ、はーい。」
ね。とニノは俺の肩に手を置いて
そして微笑んで、離れていった。
