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ながれぼし

第8章 in the water




***


ニ「んで?なーんで、潤はそんな仏頂面してんのよ。」

…別に
「普通だし。」

相「イケメン台無し、ブー垂れ顔だね(笑)」

あひゃひゃ♪と俺の顔を見ては笑う雅紀。
そして、呆れ顔のニノ。



チャプン チャプン。と
さっきまでの余韻を残すプールは目の前。

そ。今は休憩中。



ニ「せーっかく、はれておおちゃんが水泳部に入部したのに?」

相「んで、入部して初出の記念すべき日なのに?」

ニ「なーにが不満なんですかねぇ?この子は。」

ねー?と、俺を挟んで言い合う2人。

「…」


そんな2人を横目でスルーしつつ
俺は、反対のプールサイドを凝視する。

そこには
う〜ん。と腕を上げストレッチをする大野くん。
と、それに付き合う櫻井先輩。




.


あの日から数日。
物事は、あれよあれよと進んだ。

今、こうしてこの場に大野くんが居るのも
その、あれよあれよと物事が進んだお陰だからなんだけど…

でも、だから…だからこそさ……


「…俺、結局何も大野くんの力になれてない。」

ぷー。と膨らんだ風船の空気を少しずつ外へ出すように言えば

ニ「はぁ?何?まーだそんなこと言ってんの?」
やっぱり、溜め息と呆れた声が返ってきた。



……そりゃぁ、何回も言っちゃってるかもだけどさ


『力になりたい。』
そう言ったけれど、子供の俺に出来ることなんて結局なんもなくて、家族である松岡さん、学校の先生…
そう。やっぱり大人の力がなくては、大野くんが今、この場に居ることは叶わなかったんだ。


相「あ。んふふ、おおちゃん嬉しそう。」

雅紀の声に、下がっていた視線を上げれば
チャプン。と今はプールに入っている大野くん。

その顔は、とても気持ちよさそうで

相「ねぇ松潤。」

「ん」

相「俺ね。友達には笑ってて欲しいなって。」

「ぇ?」

相「俺の頭じゃ難しいことはわかんないし、なーんとなくしか松潤気持ちわかんないけど、
そんな背伸びしなくて良いんじゃない?
だって、松潤には松潤にしか出来ないこと、いっぱいあるんだよ。」

「まさ…」

ニ「お、たまには良いこと言うじゃん。」

相「えー?何たまにってぇ〜」


岡田「二宮ー。ちょっといいか?」

二「あ、はーい。」

ね。とニノは俺の肩に手を置いて
そして微笑んで、離れていった。


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