
ながれぼし
第8章 in the water
俺にしか出来ないこと……
それって何だろう。
櫻『ど?久々の水の中は。』
大『ふふ。気持ちいぃ♪』
そんな、会話でもしてるかのような2人の様子。
「……そうだね。」
相「うん?」
「大野くんが笑ってるなら、いっか。」
俺にできること。
これから、見つけていけばいいのかな。
相「んふふ。俺はね、松潤にも笑ってて欲しいよ?」
そんなことを言われ、横を向けば
にひひ♪と笑う雅紀と目が合って
「…ふっ。サンキュー雅紀。」
相「えへへ♪どーいたしまして。」
自然と頬が緩んで、笑顔になれた。
と、チャプ。と、ゆっくりと水面に潜り泳ぎ始めた大野くん。
水泳を辞めて暫く経つ大野くんは、俺達がこなすメニューとは別だ。
勿論、今期の大会にも出ない。
だから、今は体力作り体作り期間であって、
こうして選手が使わない休憩時間を使って水に入る。
大野くんが水をかく度に、波たつ水面。
泳ぐスピードこそゆっくりだけれど、
やっぱり大野くんの泳ぎは、目を引いて
なんていうか
水って、あんなに綺麗だったっけかなって…
まるで、大野くんの体に触れる水が、それを喜んでいるような。そんな感じに見える。
相「ね、松潤。」
「ん?」
相「ニノ。体調悪いのかな?」
雅紀の視線を辿れば
離れた所で、岡田と話をしているニノが見えた。
「…ぁー確かに、いつもより更に顔が白いな…。」
相「…大丈夫かなぁ」
それに加えて、今日は真夏日。
普通にしてたって気を付けないと熱中症になりかねない。
ニノは、マネージャーとして。
だけじゃなく、俺達部員の為にと自分のことそっちのけで頑張ってしまう時がある。
特に今みたいな大会前の時期は危ない。
櫻井先輩と岡田に伝えておいた方が良いかな。
櫻「休憩終わり!集合!」
パン!という手音と櫻井先輩の号令に、はっとし「はい」と立ち上がる。
相「先輩にニノのこと言っとく?」
「だな。」
他の部員と共に、俺達は先輩の元へ足を進めた。
