
ながれぼし
第8章 in the water
岡田「次はタイムを計る。」
「「「はい」」」
岡田「俺と二宮で計るから、適当に別れて〜…」
…て
相「そのニノは?」
だよな…どこに……
相「あ、いた。」
いた。の雅紀の声について後ろを振り向けば
版を持ってプールサイドをこちらへと歩くニノがいた。
相「なんか…」
その足取りは
ふら ふら… と
揺れ
「あ…」
と、思った時には、
より一層大きく揺れ
グラリ。とその体が横へと倒れた。
「ニっ…!」
ッバッシャーンっ…!!!
そして、盛大な水飛沫を上げ
プールの中へとニノが引き込まれて行った。
松・相「「ニノっ!!」」
っ!な…!
それは、俺達が声を出すよりも先だったと思う。
何かが俺の直ぐ脇を突風の様に通り過ぎて行って
プールサイドを走る勢いのまま
水の中へと飛び込んで行った。
…櫻井先輩、だ。
今思い出せば、それはまるで水の中を自由に
孟スピードで泳ぐことの出来るイルカの様で
プールサイドを走る俺達なんかより
あんなに遠かったニノの元へと、あっという間に辿り着いていた。
櫻「二宮っ!大丈夫か!!」
先輩は、沈んでいった体を抱え、水面からニノの顔を出す。
「ニノ!」
相「ニノ大丈夫?!」
コポ。っとニノの口から少しだけ水が出て
岡田「上にあげろ!」
他の部員の手も借りて、ニノをプールサイドへとあげ横にする。
櫻「二宮!二宮しっかりしろっ!」
たぶん。
普段、穏やかで冷静沈着な先輩の
あんな焦った様子を俺が見たのは、後にも先にもこの時だけだったと思う。
ニ「…う…ごほ!ごほっ!…はぁっ…!」
櫻「二宮!二宮わかるか?!」
ニ「……ぁ……せ んぱ……おれ…」
櫻「大丈夫か?!二宮!」
岡田「櫻井落ち着け!二宮は今は喋るな。
ここじゃ日差しが強い。櫻井、中に連れてけ。」
櫻「っ…はい。
二宮、少し動くぞ。」
櫻井先輩は、ぐったりと寝そべるニノの体を抱き抱えるように持ち上げる。
…
俺はというと
ニノ…
気付いた時点で声をかけるべきだった…
思うのは心配と後悔
ニノの体から、櫻井先輩の体から
ポタポタと滴る水。
ニノを抱き室内へと向かう先輩。
その途中、大野くんがその肩へとタオルをかけ、先輩は、そのまま室内へと消えていった。
