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ながれぼし

第8章 in the water





『失礼しまぁす』
とは一応心の中で言って。

独特の匂いがする保健室を見回した。

流石に、保健室の先生ってこの時間には居なくるのか、先生の姿は見当たらない。


3つ並んだベッドの一番奥。
そこだけベッドを囲むようにカーテンが引かれているから、そこにニノは寝てるんだろう。


と、

二「……ん……あ れ…」

櫻「起きたか?」


あ…そか。
櫻井先輩いるっつってたっけ。
今更そんな事を思い出して、雅紀と目が合えば、
苦笑いをしたから同じ事を思ったんだろう。


櫻「1時間ちょい寝てたよ。
気分は大丈夫か?」

ニ「あ…はい。もう大丈夫です。」

布が擦れる様な音がして
たぶん、ニノが起き上がったんだと思うんだけど

ニ「あの…ずっと居てくれたんですか?」

ニノの、いつもより弱々しく、けれど少しだけ甘さを感じる声。

櫻「あぁ。」

ニ「…ごめんなさい。大会前の大切な時期なのに…」

そして、震えた声。

松・相「……」

今更、声を掛けるにも、そして出ていくにも、なんだかタイミングをのがしちゃって
俺と雅紀はその場に足を止めたまま。


櫻「何言ってる。俺の方こそ…体調悪い事に、気が付いてやれなくて悪かった。」

ごめんな。と櫻井先輩の声と共に、ギシッとベッドのスプリングが鳴る。


ニ「っ……そ、違…それは俺がっ…」

櫻「すげー心配した。
二宮が…もう目を開けないんじゃないかって…このまま死ぬんじゃねーかって思って、ホント怖かった。」

二「、…」

櫻「だから…無理すんなよ。辛かったら言って。
俺、次 二宮に何かあったら正気でいれる自信ねぇ…」

二「…セ…ンパイ…」

櫻「もっと頼ってよ。
俺、二宮の恋人だろ?」

二「…ふっ……グス………はい…」




……うわぁ…

これは……この空気

どうする?とすがった先の雅紀。
その顔は、ちょっと赤くて……っていう俺もきっと赤いだろうけど

そんな事を考えているうちに


二「……センパイの心臓、すごくドキドキしてる。」

櫻「…二宮と居る時はいつもこんなだよ。」

二「嘘…」

櫻「引くか?」

二「ううんっ 嬉しい…です。」




あっまーーーーーい!!


これ以上盗み聞き(不可抗力だけどね!)してたらいけない気がして、俺は、一歩後退し…


ガッシャーン!!



…え……

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