
ながれぼし
第8章 in the water
櫻「選手は10分後に下に集合!」
松・相「、はいっ!」
忘れちゃいけない。いや忘れる訳ないけれど、
実は今日は、大会の予選。
で、今はアップも終わり、それぞれの競技までのちょっとした待ち時間だ。
櫻井先輩の声に、ある意味リラックスし過ぎた気持ちを切り替える為に、俺は頬っぺたを両手でパンッと叩いた。
と、
櫻「かずな…二宮。」
二「はい…、」
部員に声を掛けた足でニノの所へきた先輩は
ニノの長めの前髪を右手で、そっと避けながら
呼ばれて上を向いたニノの顔を覗き込んだ。
櫻「…うん。体調は大丈夫そうだな。
………や…なんか顔赤くね?」
途端、熱か?と心配そうに顔をしかめた先輩に
ニ「…ぁ…これは………その…」
櫻「…体調悪い?大丈夫か?」
ニ「センパイ…の顔が近いから……。」
ぽっ。と頬っぺたを染めたニノの瞳が、先輩を見上げて揺れる。
櫻「!……ぁ…そっ…そうか。なら…良かった。って良かった…?あ、いや…えっと、それじゃ俺は先に行ってるから。だから…あ、松本、相葉、遅れないようになっ。」
「…はい。」
相「はぁい。」
ニノと同じく頬っぺたを赤くした先輩は、しどろもどろに、俺達に声を掛け去っていった。
けど…
その去り際、ニノの前髪に触れていた手で、ニノの頭をポンと撫でていったのを見逃すはずがない。
松・相・大「…」
ニ「…」
松・相・大「……」
ニ「…なによ?」
「いや……ねぇ?」
相「くふふ。幸せそうでなによりだね♪」
大「ふふ。うん。見てるこっちが照れちゃうね。」
「先輩、気にせず皆の前でも、かずなり呼びにしちゃえば良いのにな?」
相「ね!わざわざ言い直したよね。場をわきまえたってやつ?先輩って真面目だよねぇ。」
「いや、って言うよりも2人の時だけの特別なんじゃない?」
相「わお。なるほどぉ!あ、ニノは先輩のことなんて呼んでんの?翔さん?翔ちゃん?やっぱり翔?」
ニ「教えねーよっ
時間!行け!そこのガヤ2人!」
耳まで真っ赤になったニノに、とっとと下に行けと促されて、俺と雅紀は、あはは。と微笑ましく思いながら腰を上げた。
