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ながれぼし

第3章 冬以上春未満



俺が智と出会ったのは

着なれた学ランを脱いで

新しく買った着なれない私服に身を包んだ

新入生で溢れかえる大学のキャンパスだった。


あちこちでサークル勧誘の声が上がり

俺の手は、既にサークルのチラシでいっぱい

隣の相葉くんもしかり。


相「かずはサークル入るの?」

相葉くんとは高校から一緒。

「え?入ると思う?」

相「だよね(笑)
俺はバスケかなぁ。
あるかなー?」

「流石にバスケはあるんじゃないの?」

なんて、人にぶつからないようにしながらそんな事を話ながら歩く。


大学に来たのは勉強のためだ。
勉強は嫌いじゃない。将来の役にもたつし。
だからってのもあるし、元々興味ないのもあってサークルに入る気はさらさら無かった。


「そこの2人。
ここのサークル入らない?」

と、聞こえたのは穏やかな声。
今日、何度も聞いた誘い文句だ。

「あーすいません。もう入るサークル決めてて…」
こう言って断るのが角が立たない。
心の中で、ごめんなさいね。と答えながら声をかけてきた人に顔を向けた。


っ……!


あの時のことは、3年になった今でも良く覚えている。

テレビかなんかでさ、運命の人に出会うと雷が落ちる。とか聞くじゃん。
俺はそんなメルヘンな人間じゃないし、信じてなかったよ?だって雷なんて無くたって、出会って、付き合って、結婚してる人なんてごまんと居るしさ。

でも…それがまさか自分に起こるなんて夢にも思ってなかった。


声をかけたきた人。そう、智の顔を見た瞬間

まさに、ドーーン!と雷が落ちたような衝撃。

や、雷を落とされたことなんてないけどもね?
頭から爪先までビリビリと電気が通ったみたいに痺れた。

持っていたチラシがハラハラと地面に落ちたのにも気が付かずに、目の前の智にただ…釘付けになった。


大「? 大丈夫?」

穏やかな、透き通るような声。

相「かず?」

大「おーい。」
ヒラヒラと手を目の前で振られる。

「…あ…俺…」
自分でも良く状況が飲み込めない。
そんな俺はおかしな顔でもしてたんだろう。

大「ふふ。なに?緊張してんの?
大丈夫だよ?俺怖くねーから(笑)」

智は俺を覗き込みながら、ほにゃん。と笑った。


ドーーン!!と人生2度目の雷投下。



俺は、崖から転げ落ちるように恋に落ちてしまった。

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