
ながれぼし
第3章 冬以上春未満
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松「かずが大野さんの追っかけ始めたのっていつからだっけ?」
「追っかけって。ファンじゃあるまいし。」
松「ファンじゃねーの?ファンでしょ?それも超ヤバイ強烈な奴(笑)」
そうからかい口調で、目の前の缶ビールを煽る潤くん。
何缶目よそれ。
買ってき過ぎたかな…
「相葉くん。潤くんが苛める。」
相「俺に振る?
…駄目だよ、潤。かず苛めちゃ。」
松「雅紀はかずに甘ぇんだよ。
お前が甘やかすから、かずがストーカーになったんだからな!」
「はぁ?!」
何それ!流石にストーカーはひどくないか?
相「ま!まぁまぁ!
今日はさ、潤が彼女に振られちゃったのを慰める会だからさ?
酷いこと言われても流してあげよう?ね?ね?」
思わず、テーブルの反対側に身を乗り出そうとした俺を、相葉くんが小声と手で慌てて制す。
…
そうだけどさぁ…
目の前の潤くんは、既に泥酔。てか眠そう。
会った時には、目に見えて元気も目力も無かった。
「…わかったよ。
今日は怒らない。」
相「ありがとう。かず。」
なんであんたが、お礼言うんだよ。
潤くんはと言うと…こっくりこっくり。ビール片手にうたた寝。
相葉くんは…俺と目が合うと、困ったように笑った。
相葉くんは
潤くんのことが、ずっと前から好きだ。
複雑だよね。
彼女と別れたのは嬉しいかもしれないけど
こんなに落ち込んだ姿見せられたら…
逆に喜べないよね…
辛いよね。
俺と相葉くん。
2人揃って男に恋するなんてさ…
そっと、そのさらさらの綺麗な髪を撫でる。
少しワックスで固めた髪。
そんな俺に、一瞬びっくりした目をして
でもすぐに「ありがとう」と微笑んだ。
.
暫くすると、テーブルに突っ伏して寝てしまった潤くん。
そんな潤くんの肩に、寝室から持ってきた毛布を掛ける相葉くん。
潤くんを見つめる瞳は、どんな表情の時よりも優しい。
相「…にしても、酷い有り様。」
「だねー。綺麗好きの潤くんがここまでとは。」
そう、慰めよう会が開かれたのは潤くんのアパート。
ま、押し掛けたってのが正解だけど。
部屋の中は、見事にごみや服や雑誌、本、ダンベル等々が転がっている。
「え?ちょっとそこまでする?!」
そんな事を言ったのは、相葉くんが部屋のごみを拾い集め始めたから。
