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ながれぼし

第3章 冬以上春未満



「ねぇ、潤くんとなんかあった?」

そう切り出したのは、潤くんのアパートから帰る道のり。

あのままぐっすりと眠ってしまった潤くんを、ソファに寝かせ、主役が寝ちゃったしって事で帰ることにした。


相「…え…?な、なんで?べ、別になんもない。よ?」

いやいや…そんな動揺したらバレバレよ?

「そっか。なら良いけど。」

無理には聞かない。相葉くんは結構自分で考えたいタイプ。
まぁでも溜め込み過ぎちゃうから、そんときはね。


相「…あのさ、かず。」

お、話す気になった?

「はい?」

相「かずは、辛くないの?
その…大野さんに恋人がいること…」

俺の事かい。

「え?辛いに決まってんじゃん。ちょーしんどいわ(笑)」

相「…」

「もーちょーちょーちょーーー!っすよ(笑)」

…好きな人に他に好きな人がいることが、こんなにも辛いなんて、この年になって初めて知った。

そして…

それがどう転んでも変わりそうに無い。んだ。


そうなんだよ…

「あの人、恋人のこと凄く大切なんだよ。」

相「……ごめん。嫌なこと言わせて…」

出た出た、気遣い男。

相「って!」

バシッと叩いたのは相葉くんの背中。

「バーカ!俺にまで気ぃ遣うなよ。
聞かれたって言いたくなかったら言わねーよ?俺。」

相「…かず」
少しだけ驚いた目で俺を見る。


うん。俺、これでも結構悩んでるのよ。

だってもう2年以上よ?

「聞き流してくれていいからさ。聞いてよ。」

相「…うん」

「俺ってこんなじゃん?
智が幸せならいい。

なーんて思ってあげられないんだよね。まぁ…ちょーーっとはよ?ミジンコサイズ位なら思ってるけどね。」

親指と人指し指でミジンコサイズを作って、そのすき間から夜空を見上げる。

「俺が…俺がね、智を幸せにしたい。他の人なんて考えたくもないし、見たくもない。
俺。今智の恋人なんて見ちゃったら発狂しそうよ?(笑)

…早く…別れないかなって。そればっか…

さいてーでしょ?」

覗いた夜空には、星は見えない。

まるで俺の心のように真っ暗。

汚くて、貪欲で、ボロ雑巾のような感情。

そ、俺ってこんなの。

こんなんじゃさ、100万年たっても智に振り向いてなんてもらえねーよな

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