
ながれぼし
第3章 冬以上春未満
相「最低…なんかじゃないよ。」
「え?」
相「かずは最低なんかじゃない。」
「相葉くん?」
相「好きな人が他の人と付き合ってて、それが幸せならいい。なんて思える人、そう居ない。」
立ち止まってしまった相葉くん。振り向いてその顔を覗けば、瞳がゆらっと揺れる。
相「普通だよ…
だからかずは最低なんかじゃない。」
そして下を向いてしまった
「…相葉くん…どうしたの?」
潤くんと何があったの?
相「……俺ね…潤に…」
と、その時だった
「ふふ。もぉやめてよ翔ちゃん!」
…え?
その聞き覚えのある声に、相葉くんも俺も動きが止まり、お互いに顔を見合わせる
この声は…
「なんで?先にしてきたのは智くんでしょ?」
『智くん』
やっぱり…
この人の声を聞き間違えるわけがない
俺の背後から歩いて来てるのは、智
そして…
一緒にいるのは…きっと…
大「あは。そうだけど…ここじゃヤだ。」
…神様の意地悪ヤロー
さっき、見たくないって言ったのに…
目の前の相葉くんからは、2人の姿が見えているんだろう。俺を見るその顔が気まずそうに歪む
そんな俺たちの空間とは対照的に、近づいてくる楽し気な声
楽しそうだね
…智って、恋人の前だとこんな風に笑うんだ
『翔ちゃん』
…そんな声で好きなひとのこと呼ぶんだ
ぐるぐると脳中が渦巻く
そして同時に
なんか…俺ってバカみたい
と思った
始めからさ、失恋してたけど
それでも…頑張ってた
…
…心底見たくないけどさ
死んでも見たくなかった顔だけどさ
もうこの際、恋人の顔拝んでやろうじゃん
なんて強気な感情まで湧いてきて
意を決して振り返った
と言っても、先に目に入ったは智
楽しそうに笑う智…
まだ俺達には気がついてない
華奢な身体から延びる腕は『翔ちゃん』の腕を掴む
その先にある『翔ちゃん』の顔
…この人が……
大「あ…」
と声を出したのは智
そりゃね、距離はもうすぐそこ。
道のど真ん中に男2人が立ってたら見るよね
次に『翔ちゃん』が顔を向ける
『翔ちゃん』と視線がぶつかった
櫻「? 智くんの知り合い?」
大「……」
なんで…
あんたが気まずそうな顔すんだよ
気まずいのはこっちだ、バーカ…
