
ながれぼし
第1章 きみのそばで
今まで、なんで気がつかなかったのか。と不思議に思うくらい
あの日から、特に探そうとしなくても智くんは俺の視界に入り込み。そして探そうとすれば、たとえ遠くにいても直ぐにわかった。
なんつーか、智くんの回りだけぼやっと光ってるって言うか…上手く言えないけど、そんな感じ。
「智くん。」
大「あ、翔くん。これから昼?」
「そう。智くんは?」
大「俺も。お腹空いたー。何食べようかなぁ。」
あの日、妙に大野智という人物に引かれた。俺の人生の中でこんなにも誰かに興味を持った。というのは記憶にはなくて…
ま、これも何かの縁かなって。
それから、俺は智くんを見かける度に話しかけ、今では自然とつるむようになるまでとなった。
宮「大野っち、俺も一緒にいー?」
と、俺の影からひょい。と出てきたタケ。
大「ふふ。もちろん。」
そして智くんについてわかったことがある。
智くんは、俺とかタケに比べたら口数は少ないが、無口ではない。
ただ集中したり眠いと、自分の世界に入る。ように喋らなくなる。そしてその時間が長くて、多い。
ので普段は、けっこう喋る。
結局、元々人懐っこいタケとは、あっという間に打ち解け、今も2人で楽しそうに話している。
宮「ね?今日、3人でカラオケいかね?」
「…あー、俺はパス。」
宮「えー?なんだよ櫻井。…あ、デートかぁ。」
「…まぁな。」
デートっつーか…な。
宮「大野っちは?」
大「特に予定はないよ。」
宮「いいね!じゃぁさ、大野っちに紹介したい子がいるんだよね。すげーいい子。」
え?
大「え?いいよ、紹介なんて。」
宮「なんで?!彼女いないでしょ?いいじゃん1回会うだけ!ね!お願い!」
えー。と乗り気じゃない智くん。
を、ほぼ強制的に話を進めるタケ。
結局しぶしぶ了解した智くん。
俺は、ただその光景を見ていた。
.
そして暫くして
智くんに彼女ができた。
智くんは、あまり恋愛については話したがらない。
ただ、タケと智くんが話している、ちげーな、タケが一方的に聞いたのによると、相手に「すきって言われたから。」付き合ったと。
それを聞いて、智くんから。ではないんだって、そう自分に言い聞かせた。
