
ながれぼし
第6章 きみごころ
大野っちは、11月に20歳になるっつってた。
でも、その顔にはまだ幼さが残り、あどけない。
むさ苦しさがないって言うのか、中性的って言うのか、笑えば可愛いし。でも黙れば綺麗。
華奢な体が余計にそれらを引き立たせているように思えた。
櫻「3125に居るから来て…え?先輩?……飲み行くの?………はぁじゃぁちゃんと断れよ。
……あぁうん……ん?タケもいる…え?」
友達っつーか櫻ちゃん、彼氏みてー。
そんな事を思いつつ
ニコニコ笑って、ヒラヒラと中庭に手を振る俺。
ついさっき、あ。と俺に気がついた大野っちは、ほにゃん。と笑って手を振り返してくれた。
あは。かーわいー。
でも、無防備にそんな笑顔。人が居るところで見せない方がいいかもねぇ。
大野っちの近くに、まだ居る先輩。
こっちを見たからはっきり見えたその顔面。
…
……あー
案の定あれは3年で…テニスサークルの。
サークルには何度か顔は出したことはあったけど、テニスっつーよりは、良くある飲み会サークルで、そんなのには興味ねー。と今ではすっかりご無沙汰だった。
櫻「笑ってないで早く断ってこっち来い。」
同じく中庭を見下ろして、ちょっとイラついた声を出す。
あんまり周りには興味のない櫻ちゃん。
きっとあの先輩の事は、なんにも知らないだろう。
う〜ん…
面倒なことにならなきゃいいけど。
