
ながれぼし
第6章 きみごころ
こんな直ぐに店を出るなんて思ってなかった。
油断した。
気ぃ抜いてた。んだ。
「櫻ちゃんっ!いた?!大野っち。」
櫻「はぁ……いや、もう見えるところには…」
まじか……
.
大野っちと先輩が居ないことに気が付いて直ぐ
櫻ちゃんは俺に会計を任せて、外へ飛んで出ていった。
後を任された俺は、まだ運ばれてきていない、だし巻き卵と枝豆のオーダーをストップするべく店員に声を掛けた。
けど
店員『あ…もうできてます。』
と、両手に卵焼きと豆が乗った洒落た皿。
ですよね。
ってことで、近くのテーブル席にいた社会人っぽい男女のグループに、貰って下さい。お金は払うんで。と話、会計して俺も急いで外へ出た。
金曜日の夜。まだまだ真夜中には遠い時間帯。
これから飲みでも行くのか、楽しそうに人々が行き交う。
「携帯は?かけた?」
櫻「あぁ。ずっとかけてるけど出ねぇ。」
繋がらないって…
「……店員に聞いたら、5分くらい前に店を出たって…。」
俺達含め個室を予約しといて20分も経たないうちに店を出る。何とも悪質な客だけど
でも…今はそれどころじゃない。
櫻「5分…どこ行ったんだよ……」
櫻ちゃんは周りを見回したまま顔をしかめ、下唇を ぎり…と噛んだ。
…その顔は…
……
心配なんだ…大野っちのこと
心配……
大『タケちゃん…平気?』
「っ…」
ゾワ。と全身に鳥肌が立った。
大『…タケちゃんの事なのに全然気がつけなくて、怖かったよね……何もしてあげられなくて…ごめん。』
浮かんだのは、心配そうに俺の顔を見る大野っちの顔。
…
……っくそ
どこだ…あの先輩ならどこに行きそうだ?
大野っちは飲んでない。ならどうする?
次も店…いや……家?
あいつの家…そんなの知らない…けど……
なんか飲み会の時…うっすら……
思い出せ…思い出せ………!
…………あ
「っ櫻ちゃん!行こう!」
櫻「え?!どうし…どわっ!」
俺は櫻ちゃんの反応構わず、腕を掴んで走り出した。
