
ながれぼし
第6章 きみごころ
「ハァ…ハァ…ハァ…」
俺は、駅に着いたと同時にしゃがみこんだ。
苦し……完璧に運動不足だ……
あぁ…俺もジム行ったら、櫻ちゃんみたく細マッチョになれんかな。
いやその前に金ねー。
交際費は削りたくねーしなぁ…
櫻「電車乗ってたら、追い付けねーな。」
大丈夫かタケ。と声は掛けてくれたけど、その瞳は忙しなく人混みを見回す。
そうだ。のんびり休んでる暇はない。
「だね。ホームに行ってみ…」
大「あーいたいた。
翔くん。タケちゃーん。」
櫻「…」
「…」
大「ここにいたんだ。直ぐに会えて良かったぁ。翔くんごめんね。電話くれたのに出れなくて。いつの間にかサイレントになっててさぁ、今さっき気がついた。」
櫻「……」
「……」
大「いてて…なんか肩凝っちゃった。慣れない人と2人きりだったからかなぁ。」
と肩をコキコキ。
櫻「………」
「………」
大「あれ?どうしたの2人とも黙って。
わ。タケちゃんすごい汗かいてるよ?それに顔…え?なんで2人して睨むの??」
目の前の人物は俺と櫻ちゃんを交互に見て、そして怖ぁ…。と若干身を引いた。
『あーいたいた。翔くん。タケちゃーん。』
のほほん。とした声を出し、ふりふりと手を振って、のほほん。と現れたのは…探してた対象人物の大野っち。
…
……
えー…と?
まずは…良かった。
うん。良かった。
なんともなさそうだし、いやー良かった良かった。
…
良かったんだけどさ
何故だろうか
無性にイラッとしたな。
櫻「…智くん…先輩は?」
きっと、櫻ちゃんも同じような心境なのだろう。いつもよりやや声が低い。
いやね。大野っちはイラッとされる筋合いなんてこれっぽっちもないのはわかってるよ?大野っちは悪いことなんてしてないんだから。
寧ろどっちかっつったら、大笑いした末に、大野っちを見失った俺達が招いた自業自得な事であってさ?
焦ったよ?大野っちなにかあったらって。
だから、ハァハァいいながら走ってさ。いやだからって、大野っちに何かあって欲しかったなんてアリンコほども思ってないけど……けど…なんかね?
大「帰ったよ。」
え…?
宮・櫻「「帰った?」」
あの先輩が?
あっさり??
思わず櫻ちゃんと言葉が被って
思わず俺達は顔を見合わせた。
