
ながれぼし
第6章 きみごころ
ガヤガヤ
ガヤガヤ
頭上にはテカテカと光る電灯
「あ、大野っち。新作のデザート出てるよ。『マロンマロンマロン』ってどんだけマロンなんだって(笑)」
大「え?ほんとだぁ。『マロンマロンマロン』って栗?タケちゃん頼むの?」
「新作マスターの俺と言ったら『マロンマロンマロン』でしょ。大野っちは、安定の定番プリン?」
大「うん。でも『マロンマロンマロン』気になるなぁ。ちょっと食べさせてよ。」
「もち。『マロンマロ…」
櫻「マロンが多い。つーか、デザートの前にちゃんと腹に飯を入れろ。」
大「翔くん。デザートは別腹に入るから関係ないよ。」
櫻「…それ。別腹の意味をはき違えてると思うけど?」
櫻ちゃんは呆れたように、でも、大野っちを探していた時とは180度違う優し気な顔で溜め息を吐いた。
結局、ウーロン茶しか飲んでない俺と櫻ちゃん。
そして、何にも注文もせずに店を出たという大野っち。
故に腹減ったね。って
駅中にあった定番のファミレスへ入った。
「あ、おねーさーん!」
櫻「え?おい。まだ俺決まってないって。」
「おねーさん来る間に決めてよ。俺腹減ってんの。」
早くー早くー。とメニュー表を櫻ちゃんへと、ずいずい押す。
櫻「ちょっ押すなよ…ったく、……ん、キノコのオムライス…いや、さつまいものハンバーグ…?なんだそれ…」と、ぶつぶつ。
「はーやーくー
あ、ここは全部櫻ちゃんの奢りね。俺、居酒屋払ったし。」
櫻「は?桁が違くね?」
そんな櫻ちゃんと俺のやり取り。
大野っちは、櫻ちゃんの隣で、ふふ。と笑いながら見ている。
.
大『俺、先輩は悪い人じゃないと思う。
だから、俺が20歳になったら飲みに行こうって誘ったんだ。』
大野っちと会えたあの後。
なんとなしに、けど真面目な顔で言ってきた。
俺ね。驚いたの。
だって大野っちってさ、普段自分の意見とか言ってこないんだよ。
俺が「頼みますよー」って言えば、しぶしぶとはいえ何でも聞いてくれるし、今回の尾行うんぬんだって「わかった」ってすんなり。
のに…
大『翔くんとタケちゃんも一緒に来るって言っておいたから。』
にっこり微笑んで
俺の、え?とか。は?とか。なんで?とか。
そんな言葉は言わせないような
この時の大野っちは、強かった。
