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ながれぼし

第6章 きみごころ


そして、そんな大野っちに櫻ちゃんは

櫻『そっか。りょーかい。』
少しだけ考える様に間を開けて、頷き笑った。


その反応は……なに?
今度は一緒に同席する事への安心感?
それとも…
大野っち自身が、決めたことだから……?


それに、だって…あの先輩。
こっちが連れ立って来るとなると…先輩も誰か連れてくんの?とか、なんで先輩はそれをOKしたんだ?とか気になんないの?聞かないの?
大野っちの様子に気圧されてる様には見えないし…

それか本当に大野っちが言うように、先輩は噂通りの人じゃない…って?


そこまで考えて、はっ!と我に返る。

いやいや、なにそんな他人の事を真剣になって考えてんだ。俺には関係ない。今回はたまたま一緒に居たから巻き込まれただけ。

そう。それだけそれだけ。

俺はもう考えない様に、邪念を追い出す様に頭を振って、目下のポルチーニ風パスタをパクついた。



……

…いやでも、しつこいと有名な噂の先輩。このまま静かに引くとは思えな………

って、また!



…最近の俺はおかしい……


はぁ…と

顔を上げれば
目の前の、悩んだ末に『さつまいもハンバーグ』をオーダーした櫻ちゃん。
常時はほっそりしている頬っぺたを膨らませてモグモグと食べている。

飯食ってるときの櫻ちゃんて、リスみてぇ。
てか櫻ちゃんて…


櫻「なに?」

俺を見た櫻ちゃんと目が合って、意識が頭の中から外へと戻る。

「ぇ…なにって?」


櫻「いや今、俺のこと見て鼻で笑ったじゃん、」
頬っぺたに溜め込んでいた、さつまいもだかハンバーグだかを、ごく。と飲み込んで訝しげに聞いてきた。


ありゃ?漏れてた?
「いやー。子供みたく旨そうに食うなって。
そんなに美味しいの?『さつまいもハンバーグ』」


櫻「子供って、それで笑われたの俺?
……まぁ確かに旨いっちゃ旨いけど、この3人でいるから、より旨いのかもな。」
はは。と笑った。



……は……?

ガタ!と鳴った椅子。


大「タケちゃん?」

櫻「……どした?」

大野っちと櫻ちゃんが、急に立ち上がった俺を見る。


「……あ…ジュース…」
取ってくる。と、今更いつも通り風にグラスを持って、俺は席から離れた。




……

ドリンクバーへと向かう道すがら
俺の頭の中には、あの日の言葉が甦っていた。

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