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ながれぼし

第6章 きみごころ




櫻ちゃんは、いつもどこか冷めてる様な…何かを諦めている様な そんな感じで

でもね。

大野っちの事となると、全然違くて

なんでかなぁ……




.


「はい?なんでお前?」


そんな声が聞こえてきそうな、しん。と静まり返った空気

でも、こんなの気にしない。



冷ややかな視線を一身に受け
俺は、まだ数口しか口を付けていなかったビールをごくごくと飲み干した。


「っぷっはぁ〜!あー旨ぇ♪
あ、店員さーん!ビールおかわり~!」

本当はこんな飲み方好きじゃない。
酒の旨さが激減だ。

けど…

櫻「…タケ…」


「は?誰?てか急になに…」

「あららぁ…大野くんもうギブ?酒激弱っ!(笑)
そんな状態じゃもう飲めねーじゃーん。あーあ、
せっかく誕生日祝ってもらってんのにさぁ?
もぉ酒の飲み方わかってないんだから…あ、櫻井くん!」

大野っちのとりまきの言葉をしっかり遮って、早口かつ、みーんなに聞こえるように言って、櫻ちゃんを呼ぶ。

櫻「なに?」


「トイレ。行くんでしょ?丁度いいじゃん!ついでに大野くん連れてってあげてよ。きっと脚なんて生まれたてのバンビちゃんだろーからさ。ぶふふっ!」


櫻「バンビちゃんて…ったく、しゃーねぇなぁ。」

櫻ちゃんは、やれやれ。と腰を上げ

櫻「ほら。行くぞ。立てっか?」

今も尚数人に囲まれたまま「気持ち悪ぅ…」とグロッキー状態な大野っちの元へ行き、堂々とその腕を取って立ち上がらせると

櫻「おっと…」

櫻ちゃんへぶつかるようにふらついた。

櫻「ベロベロ(笑)」


「ダッサ(笑)…っさ!潰れちゃった大野くんは放って置いて、飲みましょー?
あ、ねー?俺と勝負しましょうよ。どっちが早くジョッキ空けられるか♪」


「えっ?俺?」


「そーですよ。
あれ?ひよってます?」


「っは?はぁ?!んなわけねーじゃん!
飲もうぜ?負けた方が罰ゲームだかんな。」


「ガッテン承知乃助!んじゃぁカンパーーイ!」

かなり無理くりだけど、さっき大野っちの頬を触ってた奴を巻き込んだ。


そして
ジョッキを傾けながら目が合ったのは
下向いたままの大野っちを抱え
なんとも。な顔で俺を見る櫻ちゃん。



ちゃんと連れ出せよ。
あ、送りオオカミすんなよ?


なーんてね。



俺は、ビールを喉に流し込んだ。

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