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ながれぼし

第6章 きみごころ




「カンパーーイ!」


ごくっごくっ…


「カンパーイ!」


ぐびっ…ぐびっ…


「カンパーイ…」


ごきゅ……


ビールを煽れば、視界がくらっ。と揺れた。




えーとぉ…
何杯目だ…?これ

確か…四杯五杯…九杯…目くらい、かな…?



「お前、すげーな…」


「えへへぇ♪そうっすか?まだまだ自分いけますよ?♪」




……なんて、嘘。
流石にちょっとヤバい…

こんなピッチで、この量を飲むのなんて初めてで

いくら俺がザルっていっても、筒抜けでは無いわけで
網に引っ掛かるから、ザルっていうわけであって…

って、んなこと考えてる場合じゃねぇ…


体が揺れる度に、脳みそも胃の中も揺れた。




……

櫻ちゃんと大野っち…帰ってこないってことは、
無事に抜け出せたか



……あれ?

そういや"あの先輩"は………?


「おい!もう一杯いこーぜー!」


「…はぁい♪飲みましょー♪」


ちょっと、頭が働かないや…





.


「あ!おい、どこ行くんだよ!逃げんのか?まだ勝負ついてねーぞ!」

と、きゃんきゃん。

「ただのトイレっすよ。トイレ。
てかまだ諦めてないんすか?そういうの負け犬の遠吠えっつーんですよ?」


「なんだと?!おい!待…」

なんだか俺も半ば意地で、そんなに酔ってない風を装いつつ、煩いよ。と、ドアでシャットダウンして通路へと出た。


途端、ぐら。と足元がふらつく

…やべぇ
真っ直ぐ歩けてねぇ…と思う…


つーか、あの人 強…

一旦、胃の中空っぽにすりゃ…まだいけっかなぁ……


転ばないようにと、壁伝いになんとか歩く




あー…トイレどこ?こっちじゃねー…?


気づけば、辿り着いたのは店の出入口付近で…


トイレ…見当たらん…


「逆か……もぉ……」

ゆっくりと辺りを見回してから、来た道を戻ろうと体の向きを変えた


………ん?


何か違和感を感じて

もう1度振り向けば……


「っっはぁ?!何してんの?!!」


思わず大声が出た。


見回した時に、なんとなしに視界に入ったけど、余りにも自然に居たから、スルーしちゃったけど…


「な!なんでまだ居んだよ!!」


そこに居たのは、待つ用の長椅子に座る櫻ちゃんと…その膝枕で、ぐっすり眠る大野っちだ。

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