
ながれぼし
第6章 きみごころ
えー…と?まてまて
状況が上手く飲み込めないな。
櫻「…」
「……」
櫻「…んだよ。幽霊でも見たような顔して…。」
幽霊が喋った…
「っじゃなくて!なんでまだ居んだよって!」
櫻「……だってさ………じゃん…」
櫻ちゃんは、ゴニョゴニョと口の中で喋って
「はぁ?!何?マジでウーロン茶で酔ってんの?!」
櫻「っんなわけねーだろ!…だからぁ……」
そして俺を見たかと思うと、その視線をすぐに伏せ、また言い淀む。
「何?大野っちが寝ちゃったから連れ出せなかったとか、そんなオチ?」
櫻「ちげーよ!これは結果であって…俺だってそりゃ……」
そして、またゴニョゴニョ。
…
……
はぁ??
なんなのマジで。
こんなハッキリもの申さない櫻ちゃんは初めてで
ある意味面白いけど、今はちょっと笑えない。
「はぁ…ねぇ、今すぐ起こして帰ってよ。そうじゃなきゃまたどんなことされるかわかんねーよ?大野っち。」
マジでテンション下がるわ、この展開。
と、俺はあからさまに盛大に溜め息を吐いた。
櫻「わかってるよっ!でもさ!」
「でも?なんだよ?」
思わず出てしまった低い声。
最早この時の俺は、酔いも重なって結構イラついてた。
のに…
櫻「だから!タケだけ残して帰れるわけねーじゃん!って!」
…
……
は?
「…へ?」
櫻「タケが!本当はあんな飲み方したくないだろうに、競うような飲み方してくれて、智くんの為にって…。だからそれを無駄にしない為にも智くんを連れ出そうとしたけど…
じゃぁタケは?タケに何かあったらどうすんだよ?!あそこに居る誰が助けてくれんだよ!
智くんも『タケちゃんが一緒じゃないと帰らない!』って駄々っ子みたいに頑として譲らないし…!」
「え…ちょ…何…?」
櫻「でも!こんな智くんまた戻した所で、なにされっかわかんないし、けどタケが心配だし…でもせっかく連れ出せるようにしてくれたのにって!俺も悩んだんだよ!悩んだ結果がこれ!智くん寝ちゃうし!」
なんて、顔を赤くして超早口で喋った幽霊だった櫻ちゃん。
……て、ゆーかなに?その顔。
拗ね…?てんの?
俺の、さっきまでの戸惑いやイラつき
そんでもって、酔いまですっかり持ってかれて
なんだかいつもクールで格好良い櫻ちゃんが
可愛く見えた。
