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ながれぼし

第6章 きみごころ



…このタイミング…


「? 健?」


「え…?ぁ…あー俺、煙草吸わねーし。トイレ探してたらこっち来ちゃって。はは。」


「あれそうだっけ?なんか健っていかにも煙草吸ってそうなのにな(笑)」



……おい

全国のいかにもな奴等に謝れ。偏見だ。



先輩「そっかぁ。大野くん寝ちゃったんだ。」

俺らのやり取りなんて、全く耳には入っていないのか、先輩は櫻ちゃんの前へ行き
大野っちの顔の高さに合わせるようにしゃがんだ


「……ぁー…んじゃぁ先輩、俺達先に外行ってますね。」
健 悪ぃ。と小声で手を軽く上げ、ドンマイ大野くん。とこれまた小声で言って、3人は自動ドアの外へと出て行った


そのドアから入ってきた風は、11月とは思えないほど冷たい



そして
尚も櫻ちゃんの膝に頭を預け眠り続ける大野っち

先輩「くく。大野くんて笑うと可愛いのに。真顔は美人だよね。」

その、だいぶ色の良くなった顔をまじまじと見詰めてそんなことを言う



げ…それ。俺も前から思ってたやつ
先輩と感性が一緒だと思うと凄く嫌だ


櫻「…」

「……」

大「すぅ…すぅ…」

しーん…



櫻「どういうつもりなんですか?」

この3人…いや正確には4人だけど、この面子での無言は辛い。と思った矢先、切り出したのは櫻ちゃん

先輩「どういうつもり?……君、櫻井くんだよね。大野くんといつも一緒に居る。」


櫻「はい。」

下から覗き込むように顔を上げた先輩と、櫻ちゃんの目が合う


先輩「…」


櫻「……」


…何この空気
さっきの外の風より冷たいじゃん…


先輩「ねぇそれってさぁ。君に関係あんの?」


櫻「…あります。」


先輩「なんで?」


櫻「友達だからです。」


先輩「友達…?………あはははっ!」


宮・櫻「!?」

はっきりと言った櫻ちゃんの答えに、途端に笑いだし…

先輩「くふふふっ!そうだねぇ友達だもんね。」


櫻「…な」
先輩「だったらさぁ。尚更関係ないよね?」

そして、怖いくらいの真顔になった


櫻「え…」


先輩「だあってさぁ…君でもない。」

そう言って先輩は、櫻ちゃんに向かって下から指を差し

先輩「んで君でもない。」

俺を指差し


先輩「決めるのは大野くん。本人でしょ。」

そして微笑し、その指で、眠る大野っちの頬に触れた

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