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ながれぼし

第6章 きみごころ




先輩「……だからさぁ。邪魔しないでくんない?」

少し呆れたように、でも可笑しそうに。



先輩が大野っちの頬っぺたに触れ様とした手は
櫻ちゃんの手で遮られた。



『邪魔』

それは、今の櫻ちゃんの手の事を言っているのか
それとも、前回も今回も いつもこうして櫻ちゃんが大野っちの側に居る事を言っているのか



いや、両方か…。



櫻「今、寝てるんで。そっとしといて下さい。」


先輩「……」


櫻「散々飲まされて、やっと落ち着いたところなんですよ。」


先輩「……わかったよ。櫻井くん。」

そう言うと、先輩はもう触ろうとしません。とばかりに両手を上げた。


櫻「それに、答えてないですよ。」


先輩「ん?」


櫻「俺は、どういうつもりであんな酷い飲ませ方をしたんだって意味で聞いたんだ。」

そう言った櫻ちゃんの瞳は、冗談抜きで怖いくらいに怒りを含み、冷たい。
そしてその声は、普段の何倍も低く先輩へと向けられた。
側にいるだけの俺が気圧される程だ。



あぁ…
櫻ちゃんて、マジで怒ると、マジで超怖いのかも…

からかい過ぎないように気を付けよう…
なんて、こんな時でも思わず考えちゃう位の迫力だった


でもそんな櫻ちゃんに先輩は

先輩「あー…ね…
…せっかくの大野くんの誕生日。飲んで欲しかったのは欲しかったけど、あんな周りが盛り上がっちゃうとは思わなくてさぁ。
それに関しては本当に申し訳ないと思ってる。
悪かった。後で大野くんにもちゃんと謝る。」
ごめんなさい。と、頭を下げてきた。




櫻「っなんだよそれ…謝って済む問題じゃないだろ!一歩間違ったら…」

先輩「本当にそうだよね。このサークル、俺を含めだけど、酒好きの馬鹿ばっかの集まりでさ。今後はこんなこと無い様に気をつける。」


櫻「今更…!
つーか今後って、やっぱりこれからも智くんのこと誘うつもりなのかよ。」


先輩「そりゃね?大野くん、魅力的だし。
あ、てかもう酒は飲んでもらう必要ないからさ。だから安心してよ。」


宮・櫻「え…?」

それってどういう意…
「っだ〜〜!!さっみぃ!先っ輩!外マジヤバい位寒いっすよ!」

「上着必要!上着!!」


ガー…。と自動ドアの開く音と共に騒がしく入ってきたのは、さっきの3人で

それぞれ両腕を抱いて、ガタガタ震えていた。


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