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ながれぼし

第6章 きみごころ



ビュウ……っ


そして、やっぱり入ってきた風は冷たい。



先輩「マジ?んじゃぁ一旦戻ろう。
つーか俺、煙草すら持ってなかったわ。ははは。」



「ぇえぇ〜?何やってんすか。先輩が煙草行こうって言ってきたんじゃんかぁ〜。」

「あー!さては俺らの煙草貰うつもりだったんでしょ!あげませんよ。」

「てか別にこの店喫煙OKなのに、吸わない奴に悪いって変なとこ格好つけてさぁ。」

先輩「バーカ。素敵な気遣いだろ。き・づ・か・い。」

あはは。おほほ。

わいのわいのと
急激に騒がしくなった空間。




……

…なんだ?さっきの言葉にしても、今の会話にしても…なんか…



結局、煙草はもういいや。と言い出した先輩と
寒い中、なんだかんだ煙草を吸ってきた3人は
戻るわ。と言って歩き出し


でも

櫻「おい!さっきのどういう意味だよ?!」

それを引き留めたのは櫻ちゃんで
ゆっくりと振り向いた先輩は

先輩「さっき…?…あー酒どうのこうのの事?
あれはね。酒って…」
「あ!!」

と思わず、そこに割って入っちゃったのは俺。


だって

大「…んぅ〜…」


「大野っちが起きた。」からだ。


俺の言葉に、皆の視線が一気に大野っちへ向く。

その視線に一切気が付いてない大野っちは
「…うるさいなぁ…」とむにゃむにゃ言って
こしこしと、手のひらで左目を擦る。


…出た。今いらない可愛さ。



櫻「智くん。」


大「ふぁぁぁ〜…」

そして櫻ちゃんの声が聞こえているのかいないのか、膝に頭を乗せたまま大欠伸。




……呑気かい。



櫻「大丈夫か?」

そんな大野っちへ掛けた声は、瞳は、いつも通りを通り越して、更に優しくて

ついさっきの櫻ちゃんはいずこへ??


…やっぱり櫻ちゃんて…実は彼氏…訂正、ちょー健気な彼女なんじゃねーの?


そんな事を考えつつ、2人のやり取りを何故だか黙って見ている俺ら。


きっと、同じ事を思ってるんだと思うよ?


だって…

まぁ俺はね?さっきっからずっと思ってたけどさ
不思議だけど…大野っちと櫻ちゃんは男同士だってわかってるのに
寧ろ男同士で膝枕するとか激ヤベーのに

凄く…画になる。んだもんこの2人。



そして

大「あれ…?」

と、眠そうな瞳のまま
大野っちは、むく。と体を起こした。

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