
ながれぼし
第6章 きみごころ
大「……」
長椅子からプランと脚を下に下ろし
けれど、その瞳はゆらゆらと揺れ視点が合っていないような感じで…
…?
寝ぼけてる?
それか酔ってて頭がぼーっとして働いてないのか。
櫻「智くん?…まだ気持ち悪い?」
隣から覗き込むように声を掛ける櫻ちゃん。
何拍か間を置いて
大野っちは、頭を傾けるようにゆらり。と櫻ちゃんの方を向いた。
大「……ぁ、…しょーくん…?」
櫻「…うん。大丈夫?」
大「………ふふ…」
櫻「?……どう…、」
…あ……
きっと
大野っちが笑ったから、櫻ちゃんは「どうした?」と聞きたかったんだと思う。けれど途中で言葉を止めたのは…
いや、止めざる終えなかったのは
大野っちの綺麗なその手が
その指が…
櫻ちゃんの首元の服に力強く掴みかかったからで
そんでもって
勢い良く櫻ちゃんを引き寄せたからで
んで
「「「「へ?」」」」
皆がそろって間抜けな声を出したのは
そしてそこに、櫻ちゃんの声が含まれていないのは
大野っちが
大野っちが……
櫻ちゃんに、キスをしたからだ。
いや、キスなんて大人な、かつ可愛らしいモノではなくて
キスと言うよりは
唇と唇ぶつける
そう。
所謂
ぶっチュー!!
と、いうやつだ。
櫻「………」
そんなことをされた櫻ちゃんはというと
勢い良く体を引き寄せられた弾みで、綺麗に整えてあった長めの前髪は乱れ、その瞳を隠すかのように覆い
目を閉じているのか、開いているのか、わからない。
けど…
ぶっチュー!!される直前、反射的に出ちゃったであろう両手は「僕は狼、襲っちゃうぞ♪ガオー!♪」な感じのポーズのまま、大野っちの肩に触れる寸前で、ぷるぷるしながら固まっていた。
…
……
こ、これは…
そう。まさにこれは
大「っはぁ……んふ…えへへぇしょーくん♪
大すきーー♪♪」
事件だ。
