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ながれぼし

第6章 きみごころ



「え?」
櫻「え?」


…今、ありがとな?つった?


意味がわかんなくて思わず横を向けば
俺と同じく。??とした櫻ちゃんと目が合った。


「え?」
櫻「え?」


「…」
櫻「…」


「なに…」
櫻「なに…」




……

櫻「っぶは!!あはははははっ!!
くっ…タケやーめーろーよー!被せんなよ!ぐふふふふっ……!」

…急に爆笑

先にモロ被りさせてきたのはそっちじゃん。
…いや俺か?俺が被せちゃったのか??


櫻「んくくくく……!」
そんな事を考えている内に、腹を抱えて笑いだした。


櫻ちゃんて、笑いの沸点低いよね。激低だよね。
つーかウーロン茶に酒入れられてたんじゃないの?まじでさ。


櫻「くははっ……あーウケたぁ。おっもしれーなぁタケは…」


「…」
俺は、櫻ちゃんの生体が面白くて仕方がないけどね。

櫻「はぁ苦しかった…あ、わり…俺、遮ったよな。何?」
目尻から流れてきた涙を人差し指で拭う。


「え?俺何も言ってないよ。」

もうすっかり出鼻を挫かれた俺は、しらを切ろうとした…けど

櫻「『ごめん。』って何?」



……しっかり聞こえていたようだ

そして、さっきの馬鹿笑いは何処へ消え失せたのか、急に真剣な顔するもんだから

「え…あ、えと…それは…」

超絶キョドってしまった…

櫻「?」


「だから…えと…」

あれ…?おかしいな…
普段は考えなくても言葉なんてポンポン出てくるのに…口が…動かない


櫻「あ……え?もしかして体調悪ぃ?」



櫻「ごめん俺、気が付かなくて…」

…違う

櫻「横になるか?それか水飲む?」

違うよ

櫻「タケ?」
今は心配そうに俺の顔を覗く。



違うんだ…



櫻「っ…?…ぇ…」

櫻ちゃんの、小さいけど驚いた声が聞こえた




……

体調悪いとか、喉乾いてるとか、気持ち悪いとか、そう言うんじゃない

俺今ね。違う…最近ずっと苦しくて…胸が…心が、すっげぇ苦しいんだよ……


櫻「…タケ…」

伺うようなそんな声色。
でも…その顔は見えない。


だって


ポタ……ポタ……


俺の目から出てきているであろう その水分が
さっきっから視界の邪魔をするんだ

だから櫻ちゃんが、こんな俺を見て
きっと驚いて ドン引きしている顔は見えない。

…見えなくて良かった……

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