
ながれぼし
第6章 きみごころ
…
……
「違う…必要だよ。」
櫻「え?」
「必要なんだよ。」
櫻「…なにが?」
「だーかーらー。櫻ちゃんと大野っちを守りたいって思っていいのは、選ばれた人なんだって。」
櫻「…は?何言って…」
「だって、そう思うって事は"知り合い"とは違うじゃん。特別っていうか、大切なモノっていうか…だから俺なんかが、思っちゃ駄目なことなんだよ。」
櫻「俺なんかが…?」
「そ。」
櫻「え?ちょっと待って。待って待って待って。言ってる意味が…」
戸惑った声に戸惑った顔。時間をくれとばかりにストップ!と右手の平を俺に見せてくる
ー…ねぇ櫻ちゃんー
「えー?例えばー、中居くんの大人免許取るために試験させられる《世にも奇妙ななんちゃら物語》みたいな?…ん?違うか……まぁ要は、櫻ちゃんと大野っちにそんな想いを抱いていいのは、資格がある人だけなんだよ。だから資格の無い俺なんかが思っちゃ駄目なことで…」
櫻「待てって!!」
ーねぇ大野っちー
「わっ!なんだよ急に大声出して…」
櫻「資格なんか必要ないだろっ!」
ー苦しいー
「何また怒ってんの?
だって『健には、その資格がないから誰とも友達になれない。』って。」
櫻「な…!…誰、に?そんなこと…」
ー俺、苦しくて…ー
「同高の人達。」
櫻「、……」
ーだから、もし…ー
櫻「………タケ…」
「でもさー、俺、最近ずっとこの辺りが変で、んー何て言うかイメージ的には、それが出てこないように無理やり蓋閉めて押し込んでる感じっつーの?」
俺は、胸の辺りをギュッ。と握った。
櫻「…」
「はは。……でもね…でもさ、いっくら抑えようとしても出てきそうになるんだよ、だから…すっげー痛い。櫻ちゃんのデコピンより痛い(笑)」
櫻「……」
「……わかってるよ?…思っちゃ駄目だって…望んじゃ駄目だって……けど…何回も何百回もそう自分に言い聞かせたけど、最近は全然抑えが効かなくて……」
ー俺でも、それを望んで良いのなら…ー
言ってもいい?
この人達になら…
「…ねぇ櫻ちゃん」
櫻「うん。」
俺を見る瞳は変わらない
櫻ちゃんは、ずっと…そうだったよね
「俺、櫻ちゃんと大野っちと、友達になりたい。」
俺でも、想っても良いのかな…
