
ながれぼし
第6章 きみごころ
自分で言うのもなんだけど
俺って案外、げんきんな奴だったんだなぁ…
「、あれ?大野っち。」
なんとなしに顔を上げた先の、なかなか遠い場所に見えたその姿
山田「え?あー…あれ、大野くん?あんなちっこくて良くわかったね。
一緒にいるのは…櫻井くん?」
…
……いやいや
全然違うだろ
あれは…
大野っちの腕を掴み、何処かへ向かうように腕を引いて、歩いていく
あれは
「…ぁ……」
"あの先輩"だ。
山田「? 健?」
…
そうだった
俺 浮かれてて
すっかり…
すっかり忘れてた
"あの先輩"の存在
なんで2人で…?
遠すぎで流石にはっきりと顔は見えないけど、腕を引かれている大野っちは、別に嫌そうな素振りはない…
先輩と初めて飲みに行った時
『俺、先輩は悪い人じゃないと思う。』と言った大野っちの先輩への印象
でもこの間の飲み会で、大野っちにバカに飲ませたのは紛れもない事実で、でもあれは先輩だけが悪い訳ではなく…なんか謝ってもきたし……
そして、櫻ちゃんとのラブロマンスが俺のお茶目で可愛い勘違いだったとわかった今
彼女も彼氏もいないフリーの大野っちが、誰とどうなろうが、それは大野っちの責任で大野っちが決めることで…
だから
別に放っておいても良い系?
…
でもさ…何処行くの?
ホントに大丈夫…なの?
ぐるぐると、そんな事を考えているうちに
2人は、なんかの教室の中へと消えていった
様に見えた
…
……
大野っちと、先輩が被る講義なんて無かったはず
てかあの教室、今の時間は使われてなくね?
…いやでも…流石にこれは俺が口出しすることじゃ…
……でも、なんか……いやでも……されどしかしだけれども………
………っ
「あぁっ!もぉ!!」
山田「っうわっ!なに?!」
やっぱ心配!
なんかわかんないけど俺、櫻ちゃんの過保護が移ったみたいだ
山田「っえ?おい?!健??!どこ行くんだよ!もうちょいで講義始まる時間だぞ!」
「悪いっ!俺、やっぱり次サボる!
あ、山田はちゃんと受けろよー!」
俺はそう言いつつ山田に手を振って、2人が消えていったであろう教室へ向かって走り出した
山田「はぁ?!な、なんだよそれぇ…」
