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ながれぼし

第6章 きみごころ




「ハァ…ハァ…」

気分は最早 迷探偵コナン
いや、ルパン4世の方が格好良いかな

…なんて、呑気に考えている場合ではないっ


ついさっき鳴った午後の講義が始まることを知らせる予鈴




……あぁ

初めてサボっちゃった
親に金を出してもらってる分際で
ごめん…親父 お袋

でも、もしかしたら大野っちの一大事かもしれないんだ

今後一切サボったりしないから、今回だけは見逃して!



.

「ハァ……ふぅ…」


壁に耳あり障子に目あり

俺は、呼吸を整えつつ大野っちと先輩が入っていった部屋のドアに耳を近づけた


さっき櫻ちゃんへ送ったメッセージ

櫻ちゃんも次は…講義だったっけ…流石に把握はしてないけど
始まっちゃったら携帯見ないよなぁ…



大「…〜〜。」

先輩「〜〜…。」


ぼそぼそ。ぼそぼそ。

話声は聞こえるけど内容までは聞き取れない
でも、やっぱり この部屋の中に2人きりなんだなってことはわかる


前にもこんなことしちゃってるよな…
と、ちょっとばかり罪悪感を感じつつ

そっ。…と
スっ。…と少しだけドアを引いて、その隙間から耳を傾けた


先輩「…〜なんだよ。」

大「あ、はい。」


そこから聞こえてきたのは、思った以上にクリアに耳に届いてきた会話


先輩「でさ、本題なんだけど、あのこと、考えてくれた?」

…あのこと?

大「えと…そのことなんですけど、俺やっぱ…」

先輩「駄目?どうして?」

大「どうしてって…それは…」

先輩「…もう一度考えてみてよ。悪い話じゃないし、寧ろ喜んで貰えると思ったんだけどな。」

大「……」

なに…?あのことってなんの話?

先輩「……付き合ってる人がいる?」



大「今はいませんけど………」

先輩「…………そ。じゃぁやっぱり、櫻井くんのことがすきなんだ?」

これは…

大「え?翔くん?」

先輩「そうなんでしょ?だから俺の誘いを断るんだよね?」

やっぱり!
あのこと。つーのは、先輩が大野っちに告って、その返事をくれってことで…

大「翔くんのことはすきです。でもそれは友達としてで。」

先輩「………ふぅぅん。じゃぁ問題ないじゃん。まぁ…そりゃはじめは緊張しちゃうだろうからさ?
譲ってお試しとしてでも良いから、付き合おうよ?ね?」

お試しって…


つーか


しつこっ!

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