
ながれぼし
第6章 きみごころ
大「お試し?」
先輩「そ♪普通の恋人みたくデートしてさぁ。きっと楽しいと思うんだ♪大野くんも直ぐにすきになっちゃうよ♪」
先輩は、尚もそんなことを音符混じりに話した
…
……
ヤバくない?この先輩マジヤバくない?
メンタル強いっていうか、鈍いというか
それかわざと…?
大「…それでも俺。付き合えません。」
先輩「なっ…!」
お。そうだそうだ!
言ったれ言ったれ大野っち!
この先輩。嫌ならハッキリキッパリ断らないと駄目なタイプなのかも
大「すいません。」
よくぞ言った!
うんうん。これだけハッキリ伝えれば流石の先輩もね?
俺は、ほっ。と胸を撫で下ろすと共に
心の中でパチパチ。と拍手をした
先輩「……そう。」
しょんぼりと、小さく聞こえてきた先輩の声
大「…ぁの…気持ちはすごく嬉しかったです。でも、ごめんなさい。」
先輩「…理由を…聞かせて貰っていい?」
大「…理由」
先輩「うん。この際遠慮せずにさ。」
大「…あ…はい。えと…理由は………」
と、大野っちは言うのに躊躇しているのか
間が空いて…
…
あ!もしかして大野っち、すきな人がいるのかな?
…そうかもしんない。そりゃ告られた相手には言いにくいよな
てか俺もこれ以上盗み聞きしてるのは流石に気が引けてきて、事も穏やかに収まりそうだったから、立ち去ろうと足に力を入れ…
大「ただ単に、タイプじゃない。」
先輩「え?」
ん?
大「好みの顔じゃないから、恋愛対象にはならない。」
先輩「は?」
…ちょっと大野さん?どうしたどうした??
大「だから理由は、タイプじゃない。ってことです。」
だめ押しのキッパリ。
…
ぇえっと…それは…
そりゃね?タイプじゃないなら仕方がない。先輩は遠慮せずにって言ったし
でもさ?流石にこれは言わない方が…てか言ったとしても、もうちょいオブラートに包むべきじゃ…
先輩「……」
大「じゃぁ俺はこれで失礼します。」
大野っちの声はなんだか晴れやかで、言いたいこと言えてスッキリ的な?
そして無言の先輩
なんか流石に不憫に思った
でも…
ガタっン!!
!?
大「っ!」
部屋から聞こえてきたのは
何かが倒れた音…?
そして
大「いっ…」
先輩「納得。いかないなぁ…」
トーンの低くなった先輩の声だ
