
ながれぼし
第6章 きみごころ
先輩「…」
大「?」
「…」
しん。としたのは一瞬
直ぐに口を開いたのは
先輩「なにお前?」
「宮崎健だよっ!」
飲み会にも居たよ!
ちょっとどっかの芸人ぽいし、何より食い気味になっちゃったのは、どうもテンパってるからで…
俺 基本、こういうの嫌いなんだよ
先輩めちゃめちゃ睨み付けてくんし!
大「……」
もぞ。と動いた腕の中
なんで俺がここに登場したのかわけワカメな大野っち
流れで思わず抱きしめちゃって…少し斜め下から、じっ。と見てくる視線を感じるし、なによりきっとこの胸のドキドキは丸聞こえ…
…格好悪ぅ
先輩「で?なにか?」
さらに低くなったトーン。
ひぇ〜…
めちゃ怒ってるじゃん…
…でも、乱入しといてヒビってるなんて男としては悟られたくなくて
「そっちこそ、なにしてんすか?」
ぜったいに声が裏返んないように頑張った
先輩「なにって?」
「"なに"してたんだよっ。」
そう、"なに"だ
これは「大野っちにナニしくれちゃってんだよ!」
の怒りの"なに"ではなくて
文字通りの「今さっき大野っちに"何"をしようとしてたの??」の疑問の"なに"だ
俺が大野っちの嫌がる声を聞いてドアを開けたとき
大野っちの頬っぺたを触る先輩の手
そしてその反対の手には
《学生証》
何故か。
それを、大野っちに見せていた
この大学の学生なら誰もが持ち、ほぼ毎日使うから馴染みがあるそのカード
今は、先輩のポケットへと隠されてしまったが、あんなの、絶対見間違える訳がない
先輩「なんも。」
すまし顔。
「いやいや!学生証見せてたでしょ?!なんで見せてたんだよっ!」
大「ぁ、タケちゃ…」
先輩「宮崎くん…だっけ?
宮崎くんには関係ない。」
…
ごもっとも!
でも…
「関係大有りだっ!」
先輩「なんで?」
「それは俺は…!」
先輩「友達だから。」
「!」
先輩「……はぁ…だったら引っ込んでてよ。お友達が口だす事じゃないからさぁ。」
…
…またっ
ぐうの音も出な…
な
な……
なななな…
「なんでかって!俺は大野…っ智(さと)っちの彼氏だ!」
ドーーーーンっ!!
先輩「?!」
大「ぇ?」
………ぁ
俺はたぶん人生初の
大嘘を吐いた
