
and you
第2章 not yet S×O
O side
…そうか。
俺だって翔くんのことが好きだったんだ。
でもそのせいで分からなくなった。
翔くんが何を考えているのか。
今、自分の気持ちに気付くまでは
翔くんの気持ちは簡単に想像できた。
俺を見てそわそわしてたり、
目が合うとふっと逸らしたり。
さっきのコーヒーを吹いて動揺したのだって、
好きな人からの質問だからだって。
でも、自分の気持ちが分かってから考えると
自分が気付かない内にフィルターをかけてた
からじゃないかって。
そう考えてしまう。
俺を見てそわそわしてたのだって、
誰か好きな子と連絡取ってるのを
悟られたくないからだったかもしれない。
本当に好きな人がいて、それがバレて
動揺しただけだったかもしれない。
「ほんとにバカだよ。」
こんな言葉を発したって傷つくだけなのに。
「…あー、もうやめたやめた。
今日はもう風呂行って寝て忘れよう。」
ウジウジしたって仕方ない。
明日から、どうやって翔くんと
向き合えばいいのか分からないけど、
明日のことは明日でいい。
だから今日だけは。
お風呂に入ると、目から汗が落ちてくる。
「あっついな、この風呂…。」
