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and you

第2章 not yet  S×O





S side



…今、自分が置かれている状況が
まだ理解出来ない。


まず、ここは俺の家じゃない。
そして目の前には寝てる智くんがいて。

机の上には空き缶の山。
きっと二人で飲んだのだろう、
記憶はないけどひどく頭が痛いし体がだるい。


「何があったんだっけ…。」


断片的には残っている記憶を
繋ぎ合わせて、今までのことを必死に
思い出す。


フローリングの上で丸まって眠る
智くんを起こしてしまえば、簡単に
分かることなのかもしれないけど。

気持ち良さそうに、どこか幸せそうに
眠る智くんを見るとそれは出来なかった。



必死に記憶を探っていくうちに、
曖昧だった記憶が徐々に形を帯びてくる。

お酒を飲もうと誘ったのは俺。
それならいいお酒があるよと、家に
呼んでくれたのは智くん。

どんな話をしてただとか、
どんな雰囲気だっただとか、
家に着いてお酒を飲みだしてからの
記憶はすっぽりと抜けてしまっている。

せっかく好きな人と一緒に飲めた席だって
いうのに、覚えてないなんて

「…俺のバカ。」


でも、どこか甘い雰囲気だったような
気がするのは…。

俺の願望なのだろう。

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