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and you

第2章 not yet  S×O




O side



このじれったい関係はいつまで続くんだろう。


「翔くんのへたれ…。」


家に帰ってきて部屋にひとり、
ぽつりと呟いてみて悲しくなる。


へたれは翔くんじゃない。

…俺の方だ。


翔くんが俺を好きだって知ってるって言った。
まだ動かないって言った。

でもそうじゃない。
まだ動けないんだよ。

知ってる、なんて見栄を張っときながら
本当は怖いんだ。



だから今日、翔くんにあんな質問をした。

「彼女とかいないの?」って。

「いるわけないよ!」って、
すぐに返ってくると思った。


でもそうじゃなくて。
動揺したようにコーヒーを吹き出しただけ。

好きな人からそんな質問されたから
焦ったのかなって、自惚れた。

でも今、ひとりになった部屋で考えると、
実は他に好きな女の子がいるんじゃないかって。
彼女じゃないけど、
でもそんな子がいるんじゃないかって…。



「バカだなぁ…。」


聞かなきゃよかった。

翔くんが俺を好きだって知ってるんだって、
何も知らず自惚れてる方がよかった。


だって…だって、

「好き、なんだよ…。」


自分の気持ちに気がつくなんて。


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