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and you

第2章 not yet  S×O




S side



時計に目をやると、午前4時を過ぎたとこ。

確か、今日は智くんはオフだったはず。
俺も夕方からの取材だけで。

もう一眠りといきたいところだけど、
ここは智くんの家。


「とりあえず、帰ろうかな…。」


目が覚めてしまった今、家主が寝てる中で
起きてるのも何だか申し訳なくて。


そろりと立ち上がり、まずはテーブルにある
缶とゴミの山を片付ける。

缶が手から転がって割りと大きな音をたてて
落ちてしまったときは焦って、
すぐに寝ている智くんの方を見てみると、
一瞬体がビクッと動いていたけど
起きる気配は全くなくてほっと息をつく。


机の上をきれいにして、さぁ帰ろうかと
自分の鞄を掴もうとしたとき。


「…あれ?」


今自分の来ている服が、自分のものじゃ
ないことに初めて気がついた。

身に付けているのはグレーのスウェット。

スウェットからは、智くんの香りが
していて、何だか智くんに抱き締められてる
ような気がして、


「…っ。」


意識したとたん、顔が一気に熱くなる。


「何で智くんの服を来てるんだ…?」


ひとつ気がつくと、些細な変化にも
どんどん気がつく。

まず、自分の髪の毛から
いつもと違うシャンプーの香りがする。

ボディーソープもそうらしくて、
鎖骨の辺りを引っ張って匂いを嗅ぐと
やっぱり違う。


「あ、やべっ。」


ついクセで引っ張ってしまったけど
これは俺の服じゃない。

慌てて戻そうとすると、

「え…?」


鎖骨のしたあたりに、赤い跡。

キスマークだった。

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