
and you
第2章 not yet S×O
O side
翔くんがお酒で記憶を飛ばしてしまってから、
翔くんはしきりに俺と関わりを持とうとしてた。
会話や雰囲気の中から、必死に
記憶を探っているのだろう。
だけど、それに答える気にはなれなかった。
思い出してほしい気持ちはある。
でも、もし思い出せなかったら?
甘い期待をして、幸せな思い出に浸っても、
その思い出と同じ翔くんに会えるかなんて
確かじゃない。
あの日、かなり翔くんはお酒を飲んでた。
ずっと思い出せないままの翔くんを見て、
あの日の「恋人だった」翔くんを見るのは
辛すぎた。
だから、そっと心の奥底にしまいこむ。
他のメンバーと同じように接して、
同じように笑って、スキンシップをとって。
その度に翔くんは辛い顔をする。
やめてよ。
俺が悪いみたいじゃないか。
…忘れたのは翔くんなのに。
期待しないなんて言っても、
本当は期待してるんだ。
思い出したよって言って、優しく
ハグしてくれるのを。
「はぁ…。」
「何よおじさん。さっきから辛気くさい
ため息ばっかりつかないでくれます?」
今日はニノと二人で雑誌の撮影。
あと10分もすれば本番が始まるって時、
ゲームをやめたニノがこっちを見た。
「ここ最近、ため息多いですよね?
何、失恋でもしたわけ?」
「…まぁそんなとこだよ。」
マジ!?って声のトーンを上げるニノ。
「じゃ、俺と付き合って。」
「どこに?」
「付き合ってっていってんの。
交際してって。」
「ああ、交際のほうね。
って、は!?」
思わず耳を疑って、弾かれたように
ニノのほうに視線を向けた。
