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and you

第2章 not yet  S×O





O side



ニノの顔をじっと見つめてみても、
いつもと同じ人懐っこい笑顔でこちらを見てる。


「いいでしょ?ね?」


一見確認するように尋ねるけど、
有無を言わせない口調に俺は頷いてしまった。


「よし、決まり。
 じゃあ取りあえず、今日はその記念に
 飲もうよ。大野さんの家でさ。」


帰りにお酒買って帰ろうねって
それだけいうと、またゲームの電源をつけてる。


…勢いに押されて頷いてしまったけど、
もしかして俺は大変なことをしてしまったんじゃ
ないだろうか。

ニノと付き合うなんて。


そんなことを考えていると、

「付き合うってって言ったけど、
 とりあえずはお試し期間ってことでどう?

 大野さん、失恋したばっかだし。
 ゆっくり心の整理をすればいいよ。
 俺の勢いに負けて頷いただけだろうから。」


まるで俺の心を読んだかのようなタイミングで
発せられた言葉にドキリとした。


…お試し期間、か。

ニノには今ここで、気持ちは別の人にあることを
伝えて、傷つけるのを最小限に抑えるのが
一番いいのかもしれない。


でも、ニノの優しさに甘えたい自分がいた。

一人でいると、翔くんのことばかり
考えてしまう。
奥底にしまいこんだはずなのに。



取材が終わると、ニノは俺のマネージャーに

「今日は俺の車で一緒に帰るから。」

と伝えて、ぽいっと車に放りこまれると
お酒を調達して、気がついたら、
本当に俺の家のマンションに来てた。


いつにないニノとの近い距離。
肩と肩が触れ合う距離に躊躇ったけど、
ニコニコと嬉しそうなニノのを見てると、
何となく俺も笑ってしまう。

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