and you
第2章 not yet S×O
S side
ー…
「…くん、しょうくん、翔くん!」
「…っえ、あっ。智くん。」
「どうしたの?ボーッとして。
やっぱり疲れてるよね…?」
「んーん、ちょっと昔のことを
思い出してただけだよ。始まりのこと。」
「あー。」
リビングでふたり、ソファーの上で
くっついて座る。
同じシャンプーの匂いが嬉しくて、
髪をさらさら撫でると嬉しそうに
こちらを見上げる智くん。
その顔が綺麗で可愛くて、そっとキスをした。
「結構色々あったもんね、俺たち。」
「俺たちっていうか、翔くんが、でしょ?」
「その節は本当に面目ない…。」
あははって笑って俺の膝を叩いてる。
もしあのまま記憶が戻らなかったら、
この痛みも隣にいる温もりもなかった。
一番大切なものを失うところだった。
「でも、それもいい思い出だよ。」
今ではこうやって笑い話に出来るもんね、って
少しネガティブになりつつあった俺の気持ちを
簡単にすくい上げてくれる。
こういうところに、恋人としても
メンバーとしても今まで何度も助けられた。
ぎゅっと抱きしめると、
ぎゅーっと抱きしめかえしてくれる。
「今日の翔くん、甘えただね?」
「…嫌?」
「そんなわけないでしょ。」
俺の両頬にそっと手を当てると、
ゆっくりと唇が落ちてくる。
智くんからのキスは、甘い。
触れるだけのキスが二、三度落ちてきて
離れようとする智くんを捕まえて
深いキスを落とす。
「んっ…。」
「…はぁ。
抱きたい、智くん。」
ストレートに伝えると、ポッと赤くなる頬。
何度体を繋げても初々しい智くんに
こっちまで緊張してしまいそうで。
小さく頷いた智くんを抱えて、
寝室へと移動した。