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and you

第3章 初恋はみつのあじ M×N





M side



悶々と考えれば考えるほど、高まるのは
和さんを抱きたいという欲求。


どんな声で鳴くのか。
どんな顔で俺をみるのか。

そんなことばかり考えて、また高まる欲求。


もちろん無理強いするつもりなんてないけど、
このままだといつか和さんを押し倒して
しまいそうなほどだ。


でも、
「嫌われたくないんだよなぁ。」


和さんは本当に大事な人だから。
嫌われて離れていくのが何よりも怖い。





和さんに一目惚れしたのは、
忘れもしない去年の文化祭。

軽音楽部の野外ステージで、
エレキギターを弾きながら笑顔で歌う
姿に、釘付けになった。

男にしては高い声に恋に落ちて、

それからずーっと和さんだけを追いかけてる。



ライバルは多かった。

女の子はもちろん、和さんは男にまでモテて
言わばこの学校のアイドルみたいな存在で。

はじめは挨拶を交わすだけの関係だったのを、
徐々に距離を縮めて、ゴールインした。

まわりのアシストもかなりあったけど。



「相談するか…。」


こんな悩みを相談するのは恥ずかしいけど、
でも自分ではもて余す問題を、
相談できる奴がいた。


メッセージの送信先は翔。

『明日相談したいことがあるんだけど、
 放課後空いてる?』

すぐに既読がついて、

『明日は部活オフだから大丈夫。』


その返事に適当なスタンプだけを送って返した。


翔は中学からの友達で、和さんと付き合う前から
かなり相談に乗ってもらった。


ひとりでは出せなかった答えも
見つかるかもしれない。

そんな期待を込めながら、
俺は静かに夢の世界に飛び込んだ。

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