and you
第3章 初恋はみつのあじ M×N
N side
最近、潤くんがおかしい。
あ、潤くんっていうのはね
俺のイケメンの彼氏なんだけどね。
一緒に帰ろうって誘っても、
「すいません!今日はちょっと
友達と約束しちゃってて。」
って言われるし、
それならと休日にデートに誘っても、
「あ、その日は…(以下省略)」
ここ最近こんな感じなわけで。
「何か嫌われるようなことしたかな…。」
必死に記憶を手繰り寄せてみるけど、
出てくるのは甘い記憶だけ。
笑ってる顔。
愛しそうにこっちを見る顔。
「寂しいじゃんか、バカ…。」
潤くんは俺よりひとつ下。
だからなのか、素直に甘えることが出来ない。
ひとりになればこうやって言えるのに、
潤くんを前すると何も言えなくなってしまう。
「格好悪いよなー…。はぁ。」
潤くんとは、まだ手も繋いだことがない。
そりゃ、繋ぎたいよ?
でもさ、あんなにイケメンで優しい彼氏だと
俺の心臓が持たないんだって…。
一緒にいるだけで満たされる。
こんな感覚ははじめてだから、
もう少しこの感覚を楽しんでもいいかなって。
一緒にいるだけで幸せなんだもん。
触れられればどれだけ幸せなことか。
「会いたいな、潤くん。」
ちょっと素直になるからさ、
だから会いたいって思うのは迷惑なのだろうか。