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第3章 初恋はみつのあじ M×N





N side



昼休み。
雅紀と一緒に食堂へ向かっていたときに、
潤くんの姿を見かけた。


「あ…。」
「ん?どしたのにのちゃん、って
 あっ!松潤じゃん。

 おーーい、んぐっ!」
「しーっ!ほら、行くよ。」


潤くんに声をかけようとしてた
雅紀の口を押さえ込んで、
手を引っ張ってズンズン歩き出す。


「ちょ、どうしたの?にのちゃん!」
「うっさい。ついてこい。」
「強引すぎ!」


後ろでぶつぶつ聞こえる声を無視して、
足を止めずに進む。

せっかく食堂まで来た道を逆戻りして、
教室まで帰ってきた。




「本当にどうしたの…。」


教室に戻ったかと思えば、
机の上に伏せたままの俺を心配する雅紀。

ぽんぽんと頭に置かれた手が想像以上に
優しくて、鼻の奥がつーんとする。



食堂で見た潤くん、女の子と一緒だった。

櫻井と何人かの女の子と一緒に、
楽しそうに笑いながら食事をしてた。

あんな笑顔、もう久しく見てないのに。


「…潤くん、女の子とご飯食べてた。

 最近俺の誘い断るのも、そのせいかも。」


顔は伏せたままポツリと言葉をこぼすと、
また頭をぽんぽんと撫でられた。


「松潤に限ってそんなことないと思うけど。
 だってにのちゃんのこと、大好きじゃん。」
「でも、でもっ。

 ううう…雅紀ぃー…。」
「あーあー、はいはい。」


急にボロボロ泣き出した俺の背中を
優しく擦ってくれる。

はいって出されたハンカチは
ぐしゃぐしゃだったけど、
でもそれも何か雅紀らしくて、
そんな雅紀の優しさに救われた。


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