and you
第3章 初恋はみつのあじ M×N
N side
食堂で見た日を境に、
潤くんはさらに俺のことを避けている
…ような気がする。
やっぱり、男なんて嫌になったのかな。
そりゃ、あれだけイケメンなんだもん。
相手になんか困る訳がない。
女の子が放っておくわけがない。
「はぁ…何なんだよ。」
「あ、ブラックにのちゃんだ。」
「…うっせ。」
「ブラックにのちゃんっていうか、
こっちが本当のにのちゃんだもんねー。」
「…どうせ可愛くねーよ。」
「もぉ、拗ねないでよ。」
あれから俺たちの関係を、ずっと
心配してくれてる雅紀は、
うざいくらいに絡んでくる。
それが少しだけ救いになってるなんて、
俺も相当メンタルをやられてるらしい。
「ブラックにのちゃん、久しぶりに見た。」
こいつがいうブラックな俺は、
可愛いげのない俺。つまり素の俺。
潤くんや、バンドをして人前に立つときには
愛想を振り撒いて可愛いキャラを通してるけど
実際の俺なんてこんなもの。
こんな俺を見せたら、
きっと本当に潤くんに嫌われてしまう。
口は悪い、ひねくれてるわで
扱いにくくて仕方がない。
「でも、俺はこっちのが好きだけどなぁ。
ブラックにのちゃん。
あ、デビルにのちゃんとかどう?」
「うるさいってば!」
ひゃっひゃって、特徴的な笑い方をしてる。
ゲラゲラ笑う雅紀をみて、
また大きくため息をついた。