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ヴァンパイアに鎖の愛を

第1章 終わりの始まり

すぐに家に戻ろうとも思ったが「もう帰ってきたのか?」と小馬鹿にする兄の顔が脳裏に浮かび、意地でも帰らないと歩き続けるうちに迷ってしまった。


どちらにしろ1人で出歩くことが初めてな彼女にとって帰り方は分からない。


ただただ当てもなくとぼとぼ歩き続ける少女はこれまでの疲労と兄への未だに収まらない怒りのせいでか地面に埋まる銀色の塊に気付いていなかった。


そしてそこに足を進めたところで錆び付いた音を立ててその銀色は少女の細い足を挟んだ


「〜ッいた!!!」


突然の痛み


そっと足に目をやるとトラバサミが足首に容赦なく突き刺さっていた。黒いタイツはそのせいで少し破れ、血が滲んでいる。



(…昔本で見たわ。確か人間たちが狩りをする時に使う道具よね。1回挟まったら取れないって読んだ気がするけど…)



嘘よね?と若干焦りながら無理矢理足を引っ張ってみてもただ痛みが酷くなるだけで固くくい込んだソレが取れる気配はなかった。

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