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テントの中でなんとやら

第1章 濡れた記念日

「今まで……ありがとうな」










 えっ!?


 なに、いまの?

「どうしたの、こうちゃん……」

 なぜだろう……胸が苦しくなってきた。

 気のせいか、口の中が酸っぱく感じる。

 こうちゃんは下唇を噛んで、なにかをこらえてるように見えた。

「これを最後に、受け取ってくれ」

 そう言って、こうちゃんが出したのは……「見性成仏」と書かれた、一枚の御札だった。

「……え」

「成仏してくれ……貞子」

 こうちゃん……嘘でしょ。

 こうちゃんと出会ったのは、2年前。

 そこは、こうちゃんの部屋だった。

 偶然、私がこうちゃんの部屋のテレビから出てきて、驚いたこうちゃんは、突然、私にブレーンバスターをかましてきた。

 私が初めて肉弾戦で人間に負けた日だった。

 衝撃を受けた私を、こうちゃんは構わずレイプした。

 こんな私を抱いてくれた……。

 それが、私の恋の始まり。

 こうちゃんは、私が住む井戸の近くに引っ越してきてくれた。

 いつでも会えるように……。

 私と一緒にいたら、世間が驚くからと、デートは1度もしたことがなかった。

 そうだよね……やっぱり、恋をするなら……彼女にするなら、人間がいいよね。



 わかった。


 私はこうちゃんの気持ちを、受け取ることにした。

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