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テントの中でなんとやら

第2章 謎の生物

 手紙、と言っても、百貨店の包装紙の裏だが、俺は繁にこう書いた。


『了解。この手紙、お前の好きな女に預けた。もし、これを受け取ったなら、松明でも灯して、こちらに見えるように合図をおくれ』


 普通であれば、そのまま松明を灯すか、アホらしくてなにもしないはず。これが滝繁なら、想像を超えたことをするはずだ。

 女は、俺が書いた手紙を持ったまま、テントの中で座っている。

「いや、あの、それをあいつに渡してほしいって言ってんだけど……」

『ば゜い゜う*』

「いや、外は雨降ってるって、さっきぐしょ濡れで来てたじゃないか」

 少し強い口調で言うと、女はなにも言わず、しぶしぶ外に出た。

 ……と言うか、俺はよくあの言葉がわかったな。なんとなくのニュアンスで察知したのか?

 スピードラーニング効果なのか?

「ちゃんと持って行ってるのかなぁ? 外に立ってんじゃないのか?」

 俺は心配になって外を見た。

 女の姿はなかった。

 だが、雨雲の下を巨大な鳥が、人間のような物体の肩を掴んで、向こうの山に向かって飛びさっていってる様子がうかがえた。

 もしかして、あれか?

 あれなら確かに速い。

「いや、てか、こんな田舎の山に、あんなロプロスほどの怪鳥がいたのか!? ここ、なんでもおるやん」 

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