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テントの中でなんとやら

第1章 濡れた記念日

「よかった、似合うよ」

 私はそれを手に取って見た。

 白の黒のフラッグチェックのハンチング帽だ。

「うわ、しぶい! テレビで栗原類が被ってたやつだ!」

「自分なら、必ず似合うと思ってたんだ。探したんだぞ」

「えぇ~、なんか嬉しすぎるぅ~」

 こんな所に呼び出されたことも、誕生日が過ぎたことも、すべて許していいって思った。幸せすぎた。

 外の雨が、祝福の拍手に聞こえてきた。

「まだあるんだ」

 まだあるの?

 次はなにをくれるのかしら。

 次にこうちゃんが出したのが、イギリスの国旗のような模様のランニングシャツだった。

「これは?」

「ユニオンジャックのランニングシャツだ。レディースを選んだよ」

「いいの!?」

「もちろん」

 正直、これは好みじゃなかった。

 なんか派手。

「これをつけたら、ちょっとニューヨークっぽいんじゃない?」と、丸いサングラスを渡してくれた。

 ニューヨークって、シャツがイギリスじゃない。

 こんな丸いサングラスって、のび太をタモリ化したような感じ。

 これもプレゼントかしら。せっかくこうちゃんが、私のために選んでくれたんだもん。そう考えると、すごくありがたい。

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