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あたしの好きな人

第7章 セフレの固執




そこまで考えて、今のあたしを考えて、愕然とする。

例えばあたしが男だったとして、哲がセフレで女性だったとして、

岳人が女性だったとしたら、それぞれが妊娠して、子供を産むことも、

有り得るんじゃないだろうか?


……今更ながら、自分が最低な人間なんだと思ってしまう。

……ヤバい、涙が零れる。


あたしは最低だ……。



「……咲良、寝てるのか?」

一人で枕を濡らしていると、岳人に声をかけられて、びくりと震えた。

……ぎゅっと目を閉じて、黙っていると、岳人はそのまま静かになり、寝息が微かに聞こえた。

岳人が寝たことに、安心する自分と、寂しく思う自分がいる。

どうしてあたしは、こんなにも弱いの?



……そっとベッドから降りて、岳人の眠るベッドに入る。

その背中に頬を寄せて、抱き付いた。

暖かい体温に安心して、その背中を涙で濡らしてしまう。

「……やっぱりお前、泣いてるな?」

暫くして、岳人が寝返りをうつように、こっちを向いて、正面から抱きしめられた。

安心するように、優しく頭を撫でられて、今度は岳人の胸を涙で濡らしてしまう。

「……お前ね、せっかく俺が我慢してんのに、同じベッドに入るとか、試してんのか?なんの罰ゲームだよ?」

……ハァ、

熱いため息をついて、岳人の下半身が少しあたしから距離を取るのが分かった。

「……別にいいよ?……ていうか、岳人としたい、少しだけでもいいから……」

「……泣きながら、男みたいなセリフ言うなよ?……無理させないから、少しだけ…な?」

自分の着てる服を脱ぎ捨て、あたしの着てる服も脱がされて、裸になって抱きしめられた。

ふわりとした優しい感触に、嬉しくなる。

岳人は何度も身じろぎして、ただ抱きしめるだけで、肌のふれあいを楽しむように、

すりすり体を合わせてるだけだった。

「……岳人?」

不満になって声をかけると、くすりと笑った。

「だってお前の肌、ずっげぇ気持ちいいし」

「……やぁだぁ」

岳人の体の上に乗り、思い切ってキスをする。

……チュッ

軽くキスをして、じっと岳人の顔を見つめる。

それからもう一度、また、軽くキスを繰り返し、じっと見つめ合って、

とうとう後頭部を押さえられて、岳人に引き寄せられて、キスが深くなる。

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