あたしの好きな人
第2章 魅力的な友人
彫りの深い顔立ち、キメ細やかな肌、室内の仕事だから、そんなに日焼けしてもなくて、
清潔感を醸し出している。
薄茶色の髪はお洒落でさらさらしてて、身長だってスラリと高く、スタイルもいい。
重たいフライパンを振り回すからか、腕に筋肉がバランス良くついてるし。
全体的に華やかな雰囲気。
妙な色気があるし、大人の男のセクシーさをいつも放っている。
それに声もいい。
掠れたような、低い声で、名前を呼ばれると、時々ドキリとしたものだ。
……あれ?
どうしよう、岳人ってば、あたしのタイプじゃない?
……だけど気を付けないと、彼はイケメンだから。
イケメンは必ず、浮気をするものよ。
本人にその気がなくても、女の子がほっとかないから。
現に岳人の店に行くと、カウンターに座っているのは、ほとんどが岳人狙いの女性客ばかりだし。
……やっぱり、ないわ~。
あたしは普通の恋がしたいだけで、辛い思いをしたくない。
おばあちゃんを安心させなくちゃ、いけないんだから……。
だから、岳人とは友人のままでいい。
彼の胸に飛び込むのは、恐い。
今までと違った世界に、変わってしまいそうで、恐くなった。
だから……、荷物をまとめて、準備をして、取り敢えず、おばぁちゃんが入院している病院に出掛けたのだった。