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あたしの好きな人

第2章 魅力的な友人





お洒落なバーは、カウンターが長くて幅が広く、カクテルの種類が豊富に揃えてある。

店内は薄暗いんだけど、要所要所にシンプルな照明や間接照明があるから、それを感じさせない。

テーブルの席も多めで、料理も豊富で、和風、洋風、イタリアン、はたまたインド料理、韓国料理まで取り揃えてある。

しかも馴染みのある料理ばかりで、沢山の量じゃないから、色んな種類の料理が楽しめると評判だ。

昨日もここに来たのに、また今日もだなんて、あたしってばどんだけ、酒が好きだと思われてるんじゃないの?

他の従業員のあたしを見る目が、やけににやついて見えるのは気のせいかな?

居心地の悪さを感じて、取り敢えず生ビールを頼む。

岳人は忙しそうに厨房に行ったし、なんであたし一人で生ビールなんか飲んでるんだろ?

いじけた気分になり、こうなったら沢山食べ物注文しようと思って、メニューと睨めっこしていた。

「お疲れ、咲良、久し振りだねぇ?」

甘ったるい、独特の話し方に、驚いて顔を上げた。

「あっれ~?洋子~?」

あたしの唯一の友人、幼馴染みの洋子だった。

高校から大学まで一緒だったし、実家も近所で、親同士仲がいい。

幼い頃から自然と、一緒に過ごすことが多かった。

社会人になってからは、時々しか会わなくなったけどね。

見た目は可愛いタイプで、人懐っこい性格だから、洋子のおかげで出来た友人もいた。

今は大学の頃からの友人で、岳人の親友の巽とお付き合いしている。

洋子は当たり前のように、あたしの向かい合わせの席に座った。

生ビールを注文する洋子を見て、首を傾げた。

そういえば、岳人にテーブル席に案内されて、おかしいなと思ってたけど……

ひょっとして、岳人が呼んでくれたのかな?

そう思ってたら、今度は巽が現れた。

入り口のドアから、普通に店に入って来て、手を振りながら、洋子の隣に座る。

「あれっ?巽は今日はひょっとして、休みなの?」

「そうだよ、色々あって、休ませて貰ったんだ」

日曜日とか忙しい筈なのに……?

ますます首を傾げるあたしの前で、二人は顔を見合わせ、なにやらもじもじしている。

……って、なんなのよいったい。

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