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あたしの好きな人

第2章 魅力的な友人




アパートの隣の人に聞こえたら、恥ずかしいから、焦って玄関のドアを閉じて、

日野くんがドアの内側にスルリと入った。

「咲良さん……っ」

そのまま引き寄せられて、抱きしめられて、キスをされてしまった。

感情を押し付けるような、激しいキスに抗えなくて、

「……ダメ…っ、んんっ…!」

頭を振って抗おうとするのに、何度も角度を変えて、舌が絡められて、抗えない。

ジタバタして、意外に逞しい胸板を、押し退けようと思うのに。

両手を掴まれて、動きを封じられてしまう。

「……ンンッ~~~~~っ」

その間も激しいキスは続き、舌を絡められて、官能を引き出すように、やらしくなぞられて、

痺れるような刺激に、あたしの瞼がとろんとしてしまい、身体中の力が抜けてしまう。

体が勝手に反応して、あそこの奥の方が、切なく疼いてしまう。

「……咲良さん、昨日あんなにしてしまったのに、またすぐに、あなたを抱きたくてしょうがなかったです。……今までこんな気持ちになったのは、はじめてなんです、責任、取ってくれますか?」

やっと唇が離されて、解放されて、新鮮な空気を吸い、

真っ直ぐな黒い瞳に、至近距離でじっと見つめられる。

ああ、日野くんって、こんなに綺麗な顔してたんだ。

頭の何処かで、警告サインが鳴っている。

この子はどこか、危うい純粋さを持っている。

真っ直ぐに感情のまま行動して、欲望にもストレートに突き進む。

仕事でもそんな様子はあり、そこが彼の長所だと、お客様にも評判がいい。

だけど、時々、譲らない激しさを持っている。

変なとこでこだわって、融通が効かない時がある。

上司は男はそれぐらいの方がいいと、笑って許すことの方が多いけど。

これが恋愛となったら、いったいどうなるの?


「……責任って、あたしはどうしたらいいの?」

何となく予測はついてるけど、敢えて聞いてみる。

「……俺と付き合って下さい、結婚前提で……いい返事してくれなきゃ帰りません」

思わず頭を抱えてしまう。

「警察に電話して、追い出すわよ?……いい返事したら、どうなるの?」

念のために聞いてみる。

本当に警察に電話しようかと、チラリと過る。

日野くんはフワリと笑った。

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